福王寺 (広島市)

福王寺の詳細

福王寺（ふくおうじ）は、広島県広島市安佐北区可部町綾ケ谷に位置する真言宗御室派の寺院で、豊かな歴史と文化を誇ります。この寺の設立は、約1200年前に遡り、空海（弘法大師）による開基が伝えられています。

歴史的背景

福王寺の創立については、811年または828年に空海によるものとされています。寺の由緒においては、空海が山中で不思議な樹木に出会い、その枝や根を残しながら不動明王の像を彫ったという伝説があります。その際に現れた金色の亀を受けて、寺は「金亀山福王寺」と名付けられました。このように、福王寺の名前は神秘的な出来事に由来しています。

また、可部荘が1127年に高野山に寄進されたことも記録されています。1977年には不動明王像が焼損し、その像は平安時代後期から鎌倉時代にかけてのものと認められ、寺の実質的な創建は平安時代後期ではないかと考えられています。さらに、安芸武田氏の武田氏信による復興や毛利氏の保護を得て、福王寺はかつて2000石もの寺領を擁する大寺院になりましたが、江戸時代には衰退の時期を迎えました。

境内の見どころ

福王寺の境内には、歴史を感じさせる様々な建物や自然が広がっています。山門（仁王門）は、左右に金剛力士像を配置した特徴的な造りで、安土桃山時代の建築として貴重です。また、金堂（本堂）は1982年に再建されたもので、昭和52年の落雷による火災で焼失した旧金堂の後を受けて新しく建てられました。この金堂に安置されている不動明王像は、空海作とされ、火災後に修復されて新しい像が胎内仏として置かれています。

阿弥陀堂は1851年に再建され、阿弥陀如来像が安置されており、回廊が金堂や客殿へと続いています。熊野三社は1707年に再建された神社で、権現造りが特徴的で、銅板屋根が印象的です。これに加えて、武田氏信の供養塔も設置され、安芸武田氏の歴史的な足跡を感じることができます。

境内には市指定の天然記念物である燈明杉もあり、元々は5本の杉が立っていましたが、現在は4本残っています。金亀池は、空海が見つけた金色の亀の伝説がある池で、ここにいる亀はニホンイシガメです。さらに、この寺の霊水は珍重され、訪れる人々にとって信仰の対象となっています。

アクセス

福王寺へのアクセスは、JR可部線の可部駅まで行き、そこから勝木方面行きのバスを利用して10分程度です。バスの福王寺口で下車した後は、徒歩で約30分の距離があります。

このように福王寺は、その歴史的背景や文化財、自然環境が調和した魅力的な寺院です。訪れることで、その静寂な場所から歴史の気配を感じることができるでしょう。

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