福田武雄

福田武雄（ふくだ たけお）

福田武雄は、1902年（明治35年）9月30日に大阪市で生まれ、1981年（昭和56年）1月6日に生涯を閉じた、昭和期の土木技術者であり、橋梁工学の権威です。工学博士の学位を持ち、その専門知識と卓越した技術力で、数多くの橋梁設計に携わり、日本の土木工学の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと学歴

1925年（大正14年）に東京帝国大学工学部土木工学科を卒業。大学では、橋梁研究の第一人者であった田中豊教授に師事し、橋梁工学の基礎を築きました。卒業後は、恩師である田中が橋梁課長を務めていた内務省復興局に嘱託として勤務し、橋梁設計の実務経験を積みました。

主な業績

1926年（大正15年）には、東京帝国大学助[[教授]]を兼務し、フィーレンディール橋として知られる豊海橋の設計を担当しました。この橋は1927年（昭和2年）に完成し、その独創的な構造は当時大きな注目を集めました。

1927年には、新潟市のシンボルである萬代橋の設計を依頼されました。田中豊教授や復興局の橋梁課筆頭技師であった成瀬勝武の指導を受けながら、わずか5ヶ月という短期間で設計を完成させました。その設計料を基に欧米に留学し、最先端の橋梁技術を学びました。萬代橋は1929年（昭和4年）に竣工し、現在も新潟市民に愛されています。

1933年（昭和8年）には、その優れた業績が認められ、土木学会賞を受賞しました。その後も、橋梁工学の研究に尽力し、1942年（昭和17年）には東京帝国大学教授に昇進。第二工学部の創設にも貢献しました。

1951年（昭和26年）には、東京大学生産技術研究所に転任し、1958年（昭和33年）には同研究所の所長に就任。1961年には名古屋大学教授も兼任するなど、教育者としてもその才能を発揮しました。

1963年（昭和38年）に東京大学を退官（名誉[[教授]]）後は、構造計画コンサルタントの社長に就任し、実務の世界でも活躍しました。また、千葉工業大学教授としても教鞭をとり、後進の育成に尽力しました。1964年（昭和39年）には、土木学会会長に就任し、土木工学の発展に大きく貢献しました。1975年（昭和50年）から1979年（昭和54年）まで、千葉工業大学学長を務めました。

その他にも、日本学術会議会員、日本工学会会長などを歴任し、1972年には土木学会功績賞を受賞しました。1978年（昭和53年）には、新潟市で講演を行い、萬代橋の設計当時を振り返りました。

著作

福田武雄は、研究活動だけでなく、多くの著作も発表しています。主なものとして、以下が挙げられます。

『工業数学:技術者に必要な数学の知識』（山海堂出版部、1934年）
『鉄筋コンクリート理論』（山海堂出版部、1934年）
『セメント及びコンクリート』（岩波書店、1941年）
『構造力学』（河出書房、1942年）
『応用数学 第12巻』（河出書房、1942年）
『差分法』（河出書房、1948年）
『木構造学』（壮文社、1949年）
『新制橋梁工学』（オーム社、1956年、安宅勝、友永和夫との共著）

これらの著作は、当時の土木技術者にとって重要な教科書として活用されました。

参考文献

中井祐『近代日本の橋梁デザイン思想』（東京大学出版会）

外部リンク

万代橋 重要文化財に（千葉工業大学）
* 社団法人 土木学会 歴代会長紹介

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