福祉住環境コーディネーター

福祉住環境コーディネーターとは

福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障害を持つ人々が、より安全で快適な生活を送るための住環境を整備する専門家です。この資格は、建築、医療、福祉といった幅広い分野の知識を統合し、住環境の改善をコーディネートする役割を担います。

資格の背景

従来、住環境整備は、建築士、介護福祉士、医師や理学療法士などの専門家が個別に担当していました。そのため、全体的な視点から見ると、住環境整備に必要な要素が欠落しがちでした。福祉住環境コーディネーターは、このような問題を解決するために、各専門家の立場を理解し、連携を円滑に進めることで、利用者とその家族のニーズに応じた住環境整備を目指します。

資格の概要

福祉住環境コーディネーターは、単独で専門的な対応を行う資格ではありません。実務では、建築、医療、介護福祉、行政などの専門家と協力して業務を進めることが一般的です。しかし、2級資格を取得することで、介護保険を利用した住宅改修に必要な「住宅改修が必要な理由書」を作成することが認められます。

具体的には、医療・福祉・建築に関する体系的な知識を持ち、建築士やケアマネジャーなどの専門家と連携しながら、クライアントに最適な住宅改修プランを提案します。また、福祉用具や関連制度の情報提供も行います。

試験について

この資格は、東京商工会議所が主催する検定試験によって認定されます。1級から3級まであり、受験資格は特にありません。誰でも受験可能です。

• - 1級: 年1回、12月頃にCBT方式で実施されます。2021年までは2級合格が必須でしたが、2022年からは未合格でも受験可能となりました。
• - 2級・3級: 年2回、6～7月頃と10～11月頃にCBTまたはIBT方式で実施されます。

合格率

各級の合格率は以下の通りです。

• - 3級: おおむね40%～60%で推移しています。
• - 2級: 初期の合格率は低かったものの、近年は30%～50%程度で推移しており、3級より高い場合もあります。
• - 1級: 10%未満と非常に低い合格率となっています。

合格基準は全級共通で、100点満点中70点以上です。3級と2級はマークシート方式、1級はマークシートと記述式の両方で70点以上が必要です。

資格取得後の実態

資格取得後、福祉住環境コーディネーターとして採用する事業所や企業はまだ少ないのが現状です。しかし、この資格は、建築関係者、福祉用具専門相談員、介護職など、住環境整備に関わる様々な専門家が、自己のスキルアップや業務の質向上を目指して受験するケースが多いです。会社からの資格取得推奨で受験する方もいます。

職能団体

かつては福祉住環境コーディネーター協会が存在しましたが、現在は解散しています。現在、検定試験合格者は、全国福祉用具専門相談員協会にFJC会員として迎え入れられています。

まとめ

福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障害者が安心して生活できる住環境を整備するための重要な役割を担っています。資格取得を通じて、専門知識を深め、より良い住環境の実現に貢献することが期待されます。

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