秀姑巒渓

秀姑巒渓（しゅうこらん-けい）

秀姑巒渓は、台湾南東部を流れる主要な河川であり、花蓮県と台東県にまたがる山岳地帯に源を発します。この川は、台湾東部における最大の河川として知られ、その全長は約81km、流域面積は1,790平方キロメートルを超えます。

流路の特徴

秀姑巒渓は、崙天山の南麓を源流とし、中央山脈の東側を流れ下って花東縦谷に到達します。その後、海岸山脈に沿って北に流れ、瑞穂郷で東に向きを変え、海岸山脈を横断して太平洋に注ぎます。この海岸山脈を横断する特異な流路は、台湾の河川の中でも唯一のものです。

河川の中流部では、特に海岸山脈を貫く地域で、美しい渓谷を形成しています。河口付近には長虹橋が架かり、その周辺の河床には白い大きな石が敷き詰められたような景観が見られます。この美しさから「秀姑漱玉」と呼ばれ、観光名所となっています。

長虹橋から東へ約1kmほど進むと、獅球嶼という小島が川を南北に分けており、その先で太平洋に注ぎます。獅球嶼は、日本統治時代には弁天島と呼ばれていました。

歴史と文化

日本統治時代から、この川では川下りの船が運航されていましたが、1981年頃からラフティングが盛んに行われるようになりました。現在では、台湾で最も人気のあるラフティングスポットとなっており、多くの観光客が訪れます。

一般的なラフティングコースは、瑞穂大橋からスタートし、途中の奇美集落で休憩を挟み、河口の長虹橋まで、約3～4時間をかけて下るコースです。秀姑巒渓は年間を通じて水量が豊富であり、ラフティングを一年中楽しむことができます。

流路の変遷

秀姑巒渓の独特な流路は、かつて海岸山脈に源を発していた小河川が、浸食作用により海岸山脈を突き抜け、約10万年前に花蓮渓の上流部を河川争奪することで形成されたと考えられています。この変遷は、地質学的にも興味深い現象です。

主要な支流

秀姑巒渓には、以下のような多くの支流が存在します。

奇美渓
打落馬渓
富源渓
鶴岡渓
麻漏渓
紅葉渓
苓仔渓
呂範渓
阿眉渓 (玉里鎮)
尋腰渓
豐坪渓
太渓
高寮渓
卓渓
源城渓
楽合渓
下栄彎渓
楽楽渓(拉庫拉庫渓)
清水渓
馬戛次托渓
馬霍拉斯渓
闊闊斯渓
塔達芬渓
米亞桑渓
安通渓
吳再渓
拱子溝渓
阿眉渓
磨仔渓
馬加祿渓
九岸渓
秀巒渓
螺仔渓
鱉渓
阿里山渓
石平渓
大坡渓
万朝渓
* 龍泉渓

これらの支流は、秀姑巒渓の流域を豊かにし、多様な生態系を育んでいます。

その他の情報

秀姑巒渓は、豊かな水資源と美しい自然景観を持つだけでなく、ラフティングをはじめとするアクティビティの場としても人々に親しまれています。台湾の自然と文化を体験する上で、欠かせない場所の一つと言えるでしょう。

経済部水利署の公式サイトでは、秀姑巒渓水系に関する詳細な情報が提供されています。

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