私学校

私学校（しがっこう）

私学校は、明治時代初期、鹿児島県に存在した教育施設であり、多くの歴史的背景がある。この学校は、現在の鹿児島市城山町、すなわち鹿児島医療センターの敷地に位置していた。設立の目的は、不平士族の暴発を抑制するための教育機関として西郷隆盛によって創設されていた。

設立の背景と目的

明治六年の政変によって下野した西郷隆盛は、1874年に旧鹿児島城（鶴丸城）の中に陸軍士官育成のための「幼年学校」「銃隊学校」「砲隊学校」の三校を設立した。なかでも幼年学校は、明治維新に貢献した者たちへの報奨として設立されたため、「賞典学校」とも称されることがあった。また、西郷自身が2000石、鹿児島県令である大山綱良が800石、桐野利秋が200石、さらに参議の大久保利通も1800石を拠出した。

興味深いことに、私学校という名称にもかかわらず、これらの教育機関の運営にあたっては県の予算が利用され、鹿児島県内各地に分校が設置されていた。この学校のカリキュラムは、主に漢文の暗唱と軍事教練に重点が置かれており、設立の根本的な目的は、士族たちの暴発を未然に防ぐことにあった。従って、入学が許可されるのは士族に限られ、特に元城下士出身者に限制されていた。

西南戦争への発展

しかし、設立の意図とは裏腹に、1877年1月29日、同校の生徒たちが大久保利通や川路利良に対する陰謀を高じて激昂し、鹿児島の鎮台の弾薬庫を襲撃する事態が発生した。この出来事がきっかけで、西南戦争が勃発し、私学校はこの戦争の直接的な背景ともなった。戦争後、この学校は廃止される運命を辿った。

現在の私学校跡

私学校の名残は、現在では門と壁だけが史跡として残っている。これらの遺構は、1955年に国道10号線の拡張工事の際に、元の位置から13メートル城山寄りに移設されている。また、周辺には鹿児島城（鶴丸城）の跡や城山、薩摩義士碑、鹿児島県歴史資料センター黎明館、鹿児島県合同庁舎跡、鹿児島市立長田中学校など、多くの歴史的スポットが点在している。

さらに、西郷隆盛に関連する地名や施設として、西郷洞窟や西郷隆盛終焉の地、南洲神社などもこれらの遺構から近い場所に存在しており、鹿児島の歴史を感じることができる。私学校の跡地は、明治時代の動乱を物語る貴重な史跡として、未来の世代へとその歴史を伝えている。

もう一度検索