秋田県立高等学校 (旧制)

秋田県立高等学校：戦後を駆け抜けた3年間の軌跡

1947年、秋田県に設立された旧制秋田県立高等学校は、短いながらも県内高等教育史に特筆すべき足跡を残した学校です。その歴史は、戦後の混乱期に生まれた医科大学設立構想と深く結びついています。

設立の背景：女子医専の廃校と医科大学構想

前身となった旧制秋田県立女子医学専門学校（以下、女子医専）は、戦時中の医師不足解消を目的として設立されました。しかし、終戦後、設備不足を理由に存続不可と判定され、さらに校舎の焼失という事態に見舞われます。この状況を受け、秋田県は女子医専の医科大学への昇格を断念。代わりに、将来の県立医科大学設立を見据え、高等学校令に基づく旧制高等学校の設立を決定しました。これが、秋田県立高等学校の誕生へと繋がります。

理科教育に特化した3年間

秋田県立高等学校は、修業年限3年の高等科（理科のみ）を設置。医科大学進学を目指す生徒を育成することを目的としていました。これは、将来の県立医科大学設立に向けた人材育成という県の明確な意志を示すものでした。開校にあたり、県は秋田県立秋田高等女学校の校舎を仮校舎として使用しました。

短い歴史と廃校

1947年9月16日に文部省の設置認可を受け、同年12月に開校。第1期生は男子38名、女子6名の計44名でした。しかし、秋田県立高等学校は新制大学への移行を見送られ、1950年3月、わずか3年の歴史に幕を閉じました。県立医科大学設立という当初の目標は、1970年に国立秋田大学医学部の設置まで実現せず、秋田県立高等学校の廃校は、県における高等医学教育の空白期間をもたらすこととなります。

人材育成への貢献

短期間の存続にも関わらず、秋田県立高等学校は多くの卒業生を輩出しました。卒業生たちは、その後、様々な分野で活躍し、秋田県の発展に貢献したことは間違いありません。

校舎とその後

仮校舎として使用されたのは、秋田市中島町（現・千秋中島町）にあった秋田県立秋田高等女学校（現・秋田県立秋田北高等学校）の校舎の一部でした。この地は、その後も教育の場として活用され続け、秋田県の教育史において重要な場所となっています。

資料

秋田県立高等学校に関する記録は、いくつかの文献に残されています。例えば、『秋田市史』『秋田県教育史』『秋田大百科事典』などには、学校設立の経緯や生徒数、教員名、卒業生名簿などが記載されています。これらの資料は、秋田県立高等学校の歴史を研究する上で貴重な情報源となります。

まとめ

秋田県立高等学校は、戦後の混乱期に生まれた、短命ながらも重要な役割を果たした学校でした。その歴史は、秋田県の高等教育、特に医学教育の発展を考える上で欠かせない要素となっています。わずか3年間という短い時間の中で、多くの生徒たちが学び、卒業していったこの学校の足跡は、未来へと語り継がれるべきものです。将来の県立医科大学設立という目標は果たされませんでしたが、この学校の存在は、秋田県の教育史に深く刻まれています。

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