科学新興新社

科学新興新社とその「モノグラフ」シリーズ

科学新興新社は、主に高校数学の参考書を手がけていた出版社です。同社の名前は、数学学習者にとって重要な位置を占めた「モノグラフ」シリーズと共に記憶されています。今日では、同社の出版物はすべてフォーラム・Aから供給されています。

「モノグラフ」シリーズの軌跡

科学新興新社の代名詞ともいえる「モノグラフ」シリーズは、数度の改訂を経てその姿を変えてきました。

初期シリーズ：モノグラフ新書

シリーズの始まりは「モノグラフ新書」として知られています。初期には全20巻で構成されており、この時期のラインナップは、必ずしも大学受験に特化しているわけではなかったようです。「演習 外国の問題(II)」のような、より広範な視点を取り入れた巻も含まれていました。

2訂版・3訂版への展開

1960年代に入ると、シリーズは2訂版へと移行します。この版では全24巻セットとして構想され、その第24巻には「公式集」が収められました。さらに、これに続く形で第25巻として「新選数値表」が刊行されました。

転換期となったのは、1973年の学習指導要領の大幅な改訂です。これに対応するため、シリーズは3訂版として再構成され、全34巻へと大幅に増補されました。当初、第25巻は改訂版の「数表」となる予定でしたが、これは「公式集」の巻末に統合される形で割愛され、代わりに「平面図形」が収められました。また、増補された項目には、単元体系に関係なく、追加された順番に巻号が付与されることになりました。

この3訂版に含まれていたテーマは多岐にわたり、例えば「漸化式」「不等式」「ベクトル」「3角関数」「微分方程式」「整数」「微積分」「確率と統計」といった標準的な項目に加え、「数学史」「写像」「集合と論理」「在庫の問題」「電卓と数学」「数の話」といった、当時の高校数学参考書としては珍しい主題も含まれていました。

4訂版・5訂版と構成の再編

1983年の学習指導要領改訂を受けた1988年には、4訂版が登場します。この版ではシリーズの構成が大きく見直され、巻数が大幅に削減されると共に、一部の巻は内容が統合されました。これにより、シリーズは全26巻に再編されました。特筆すべきは、この4訂版で初めて、第1巻から順に学習を進めることができる体系的な構成が採用されたことです。

改訂にあたっては、「学習指導要領外の内容は原則削除する」という方針が掲げられ、写像や恒等式といった項目が削除されました。しかし、「幾何学・発見的研究法」のような特色ある巻は例外的に残されました。

シリーズの改訂は、数学者として知られ、シリーズにも深く関わっていた矢野健太郎氏が亡くなられてからは行われていません。また、2010年から2012年にかけて行われた5訂版以降、巻号の付与は廃止されています。

4訂版における主要な巻のテーマとしては、「式の計算」「整数」「方程式」「不等式」「関数」「図形と方程式」「ベクトル」「行列」「複素数」「軌跡と領域」「空間図形」「指数・対数関数」「3角関数」「数列」「漸化式」「微積分」「最大と最小」「微分」「積分」「微分方程式」「確率」「統計」「平面図形」「公式集」「数学史」「幾何学・発見的研究法」などがありました。

長年にわたり、多くの数学学習者に利用されてきた科学新興新社の「モノグラフ」シリーズは、その時代の数学教育や学習ニーズに応じた変遷を経て、現在もフォーラム・Aを通じて入手可能なものが存在します。

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