科学映像館

科学映像館について

科学映像館（かがくえいぞうかん）とは、過去に日本で制作された科学映画の保存及び普及を目的としたインターネットによる映像アーカイブです。特に教育や科学の知識を広めるために制作された作品群が中心となっています。この活動は、2007年に設立されたNPO法人「科学映像館を支える会」により運営されています。様々な関係者や企業、個人からの寄付を受けて、活動が支えられています。

概要

日本国内で制作された科学映画は、1920年代から1950年代以降の70年代にかけて多く存在します。これらの映画は、教育目的の作品がほとんどで、学問や教材としての貴重な映像資産です。しかし、多くの作品は長い間公開されずに劣化してしまい、利用されることなく埋もれてしまっていました。こうした状況に対し、2007年にNPO法人が設立され、教育や科学関連の映像を収集・復元し、デジタル化を通じて広く公表しています。

科学映像館では、著作権者の許可を得た作品を専門企業に依頼してデジタル化し、ウェブサイト「科学映像館」上で公開しています。2021年時点で、約1,140作品が無償で閲覧可能です。また、「館」という名称がついていますが、実際にはオンラインでのデジタル博物館形式であり、物理的な展示場所は存在しません。

活動内容

科学映像館は、原版の35mmネガフィルムを高画質のデジタル映像に変換し、そのデータの保管と管理を行っています。HD化した作品の普及に努め、公式ウェブサイトやYouTube「NPO法人科学映像館」では690作品を公開しており、様々な視聴者に向けて教育コンテンツとしての利用を促しています。

著作権や肖像権の管理も行っており、映画祭や博物館での企画展示、テレビ番組での使用に関連する業務も執り行っています。また、東京国立近代美術館付属のフィルムセンターが所蔵しているフィルムのデジタル化も進めています。

このように収集された映像の著作権管理や記録映画の入手・提供には多くの課題がありますが、科学映像館は教育や文化の振興に寄与する価値のある活動を行っています。

主な受賞歴

これまで、さまざまな賞も受けていることがその活動の評価を物語っています。2018年には科学映像館でデジタル化した313作品を国立国会図書館に納品し、2019年には「第11回埼玉県人会善行賞」を受賞しました。さらに2020年には「日本科学技術ジャーナリスト会議」で特別賞を、2021年には「デジタルアーカイブ学会」の実践賞を獲得しました。

課題と将来の可能性

各地域の博物館や図書館に所蔵されている多くの記録映画の利用が現状では限定的であるため、科学映像館はその普及のための交渉を進めています。過去には文化庁や県知事の許可を得てフィルム素材の入手に向けた努力をしていましたが、肖像権に関する問題で断念した事例もあります。

将来的には、より多くの貴重な映像資料が公開され、様々なメディアで教育や啓発に役立てられることが期待されます。

もう一度検索