種村完司

種村 完司（たねむら かんじ）氏は、1946年に生まれ、日本の哲学者として知られています。鹿児島大学の名誉教授であり、長年にわたり哲学研究と教育に貢献しました。出身地は名古屋市です。

学歴と研究歴

種村氏の学問への道は、京都大学から始まりました。1969年に同大学文学部哲学科を卒業し、哲学の基礎を深く学びました。その後、さらに研究を進めるため大学院に進学し、1975年に博士課程を満期退学しています。

研究活動を進める中で、1996年には一橋大学より博士（社会学）の学位を取得しました。この時の学位論文は、『知覚のリアリズム 現象主義・相対主義を超えて』と題されており、知覚の本質に関する重要な考察を含んでいます。論文審査は、島崎隆、岩佐茂、古茂田宏の各氏によって行われました。

職歴と公職

種村氏は、教育者としてのキャリアの大部分を鹿児島大学で送りました。1977年に同大学の講師として着任し、その年のうちに助教授に昇任しました。そして、1988年には教授となり、哲学分野における教育と研究の中心的な役割を担うことになります。長年にわたり多くの学生の指導にあたり、研究室を率いて哲学研究の発展に貢献しました。

学内における要職も歴任しています。2003年には鹿児島大学の副学長に就任し、大学運営の重要な局面に関与しました。教育と研究の現場だけでなく、組織運営においてもリーダーシップを発揮しました。

2010年、鹿児島大学を定年により退職し、同大学より名誉教授の称号を授与されました。退職後も、その豊富な経験と識見は教育界で求められ、同年には鹿児島県立短期大学の学長に就任しました。短期大学における教育研究活動の振興に尽力し、地域社会に貢献する人材育成に力を注ぎました。

学会活動

国内の哲学研究コミュニティにおいても活動し、2011年には日本哲学会の評議員を務めるなど、学会の運営や哲学研究全体の発展にも貢献しています。

研究領域と著作

種村氏の研究領域は幅広く、博士論文のテーマである知覚論に加えて、心身問題やコミュニケーションの倫理といった現代哲学の重要なテーマに取り組んでいます。これらの問題に対する独自の視点は、多くの著作にまとめられています。

主な著作には以下のものがあります。

• - 単著

- 『知覚のリアリズム 現象主義・相対主義を超えて』（勁草書房、1994年）
- 『心-身のリアリズム』（青木書店 シリーズ現代批判の哲学、1998年）
- 『コミュニケーションと関係の倫理』（青木書店、2007年）

• - 共著

- 『「豊かな日本」の病理 生活と文化のフィロソフィー』（河野勝彦, 太田直道, 尾関周二, 亀山純生共著、青木書店、1991年）

これらの著作は、種村氏が探究した哲学的な問いの軌跡を示しており、日本の哲学研究における重要な貢献となっています。教育者、研究者、そして教育機関の管理者として、多岐にわたる活動を通じて日本の学術・教育界に貢献した人物です。

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