稲田千賢

稲田 千賢

概要

稲田千賢（いなだ ちかし）は、1977年9月30日に広島県三次市で誕生した、日本の元プロボクサーです。現役時代は名門として知られる帝拳ジムに所属し、OPBF東洋太平洋ライト級の頂点を極めました。広島県の広陵高等学校を卒業後、法政大学法学部法律学科に進学しましたが、後に中途退学しています。

来歴

稲田のボクシングキャリアは、学生時代に培われました。広陵高校、そして法政大学へと進み、アマチュアボクシングで顕著な成績を収めました。アマチュア戦績は95戦80勝（20KO/RSC）15敗という優れた記録を残しており、特に1998年に神奈川県で開催された「かながわ・ゆめ国体」のライト級では見事に優勝を果たすなど、将来を嘱望されるアマチュアエリートでした。

2000年3月18日、アマチュアでの輝かしい実績を引っ提げ、プロの世界に足を踏み入れます。その実力が評価され、デビュー戦は通常より上のクラスである6回戦で行われました。この試合を5ラウンドTKOで勝利すると、その後も快進撃を続け、デビュー以来15連勝を達成。その勢いは、日本のプロボクシング界に新星の登場を強く印象づけました。

順調にキャリアを積み重ねた稲田は、日本のトップ、そして東洋太平洋のタイトルへと照準を合わせます。2004年3月20日には、日本ライト級王座を保持する嶋田雄大に挑戦しました。この試合は最終ラウンドまでもつれ込む白熱した展開となりましたが、惜しくも判定で敗れ、初のタイトル獲得はなりませんでした。

同年10月2日には、舞台をOPBF東洋太平洋ライト級王座戦に移し、フィリピンの強豪デニス・ローレンテに挑戦します。この試合も12ラウンドのフルラウンドを戦い抜きましたが、ここでも判定負けを喫し、再びベルトに手が届きませんでした。

しかし、稲田は逆境に屈しませんでした。デニス・ローレンテとの再戦の機会を得ると、2005年3月5日、再びリングで相まみえます。前回の敗戦から得た教訓を活かし、一層成長した稲田は、粘り強い戦いを展開。12ラウンド判定の末、見事に勝利を掴み取り、OPBF東洋太平洋ライト級の新チャンピオンに輝きました。念願のタイトル獲得であり、リベンジを果たす形となりました。

OPBF王者となった稲田は、その後2度にわたり防衛戦を successfully こなし、チャンピオンとしての実力を証明しました。しかし、さらなる高みである世界タイトルへの挑戦を目指すため、2006年3月29日には保持していたOPBFタイトルを返上します。

王座返上から間もない2006年5月20日、稲田はボクサーとして最大の挑戦に臨みました。アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスを舞台に、WBC世界ライト級暫定王座を懸けて、メキシコの強豪ホセ・アルマンド・サンタクルスと対戦したのです。この試合は日本のボクシングファンにとって特別な一戦であり、WOWOW開局15周年記念番組として「エキサイトマッチ」で中継され、大きな注目を集めました。

世界初挑戦となったこの試合、稲田はサンタクルスの圧力に晒されます。激しい攻防の中で、鼻からの出血や左目尻のカットなど、顔面を大きく負傷してしまいました。その傷の状態をみたレフェリーによって、これ以上の試合続行は危険と判断され、6ラウンドにTKO負けを喫しました。これにより、世界のベルト獲得は叶いませんでした。

戦績

プロボクシングキャリアを通じて、稲田千賢は国内外のリングで経験を重ねました。合計22試合に出場し、19勝（14KO）3敗というプロ戦績を残しています。全勝利の約7割がノックアウトによるものであり、その高いKO率からも、稲田が攻撃的なボクシングスタイルを持っていたことが伺えます。

関連人物

稲田のボクシング人生には、多くの人々との繋がりがありました。広陵高校ボクシング部では、塚本秀彦氏が同期として共に練習に励みました。また、法政大学ボクシング部では、後にプロボクサーとなる辻昌建氏が後輩として所属していました。

その他

稲田千賢のプロ戦績に関する詳細なデータは、世界中のボクシング情報を網羅するデータベースサイトであるBoxRecでも確認することができます。

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