穂坂邦夫

穂坂邦夫

穂坂 邦夫（ほさか くにお）氏は、1941年（昭和16年）8月14日に埼玉県で生まれ、日本の政治家として多岐にわたる活動を展開しました。実業家としても知られ、瑞穂グループの最高経営責任者（CEO）や、特定非営利活動法人（NPO）地方自立政策研究所の理事長を務めています。その政治キャリアは地方自治から始まり、埼玉県志木市の市議会議員を4期、同市議会議長（第8代）を経験。さらに埼玉県議会議員として5期務め、第99代埼玉県議会議長にも就任しました。その後、志木市長を1期務めています。衆議院議員の穂坂泰氏は息子にあたります。

人物と経歴

埼玉県志木市出身の穂坂氏は、1969年に埼玉大学経済短期大学部を卒業しました。卒業後は埼玉県職員、続いて当時の足立町（現在の志木市）の職員として地方行政に携わりました。この行政経験を経て、1972年に志木市議会議員選挙に立候補し、初当選を果たします。市議会議員を4期連続で務め、その間に第8代志木市議会議長に選出されました。この市議時代を通じて、地方政治の現場での経験を深めます。

市議会議員としての活動と並行して、1977年には学校法人医学アカデミーを設立し理事長に就任、1981年には医療法人瑞穂会城南中央病院を設立し理事長に就任するなど、教育・医療分野での事業も開始し、瑞穂グループを形成しました。これらの事業活動は、後に彼の政治における提言にも影響を与えることになります。

1985年には埼玉県議会議員選挙に挑戦し当選。以後、県議会議員として通算5期にわたり県政に貢献しました。県議時代には要職を歴任し、1997年から1年間は第99代埼玉県議会議長を務めました。また、全国都道府県議会議長会地方制度委員会副委員長や副会長なども務め、地方議会の発展にも尽力しました。

政治活動の幅を広げる中で、1993年の第40回衆議院議員総選挙には自由民主党公認候補として埼玉5区から出馬しましたが、惜しくも当選には至りませんでした。

志木市長としての改革

2001年、故郷である志木市の市長選挙に立候補し、無投票で当選しました。市長として、教育分野での先進的な取り組みを推進。全国に先駆けて、公立小学校の小学1・2年生を対象に、一クラスあたりの児童数を25人程度とする少人数教育（上限29人）を導入しました。また、自宅での学習を支援するホームスタディ制度なども導入し、教育環境の改善に力を入れました。

一方で、行財政改革にも着手。2002年には、市の職員数を当時の619人から20年かけて301人へと半減させる大胆な計画を発表しました。業務量の削減や、不足する業務を市民ボランティアで補うことを想定していましたが、この計画は議会からの強い反発を招きました。結果として、彼の任期満了後の2006年にこの職員半減計画は中止されることとなりました。

その他の活動と提言

志木市長を退任した後の2006年、特定非営利活動法人である地方自立政策研究所を設立し、代表に就任（後に理事長）。地方自治のあり方や行財政改革、教育問題などについて研究・提言活動を行っています。瑞穂グループの最高経営責任者としても、教育・医療分野での事業を継続しています。

長年の公職および地域社会への貢献が認められ、2011年には旭日中綬章を受章しました。

地方自治や教育改革に関する持論を展開しており、複数の著作を出版しています。主な単著には『市町村崩壊』、『教育委員会廃止論』、『どの子も一番になれる』などがあり、共著も数冊あります。これらの著書を通じて、地方行政の現状への問題提起や、あるべき姿についての考えを発信しています。

また、テレビ番組にも出演し、自身の政策や見解を述べる機会がありました。2006年には「たかじんのそこまで言って委員会」や「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」といった討論番組に出演しています。新聞記事でも彼の提言が取り上げられるなど、多方面でその活動が注目されています。

穂坂氏は、地方公務員から市議、県議、県議長、市長へとキャリアを積み重ね、行政の現場から改革を試みました。同時に、教育・医療分野での事業や、地方自治に関する研究・提言活動を通じて、その経験と知識を地域社会や日本の将来のために活かしています。

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