穂見諏訪十五所神社

穂見諏訪十五所神社

穂見諏訪十五所神社（ほみすわじゅうごしょじんじゃ）は、山梨県北杜市長坂町に位置する、複数の神社が合祀された歴史ある神社です。旧郷社であり、本殿、筒粥神事、そして境内にそびえる大ケヤキが北杜市の指定文化財となっています。

祭神

度重なる合祀により多くの神々が祀られていますが、特に重要なのは以下の三柱と考えられています。

保食神（うけもちのかみ）
建御名方命（たけみなかたのみこと）
天地人五行神（てんちじんごぎょうしん）

歴史

三明神合祀

穂見諏訪十五所神社は、複数の神社が統合され、多くの神々を祀るようになった神社です。創建は一説によれば貞観6年（864年）とされ、延喜13年（913年）に完成した『延喜式』には「甲斐の国に穂見神社あり」と記されており、式内社であると比定されています。文永11年（1274年）には神宮司が併設され、僧侶が常住し真言密教の修行を行い、日蓮との法論が行われたと伝えられています。これは、6世紀半ばに日本に仏教が伝来して以来の神仏習合の流れによるものです。

建治元年（1275年）には、暦占いの五行説に基づき、穂見神社に十五所神社が勧請されました。天文3年（1534年）には、飢饉と疫病の流行に際し、武田信虎の命により筒粥神事が行われました。天文16年（1547年）に造営された社殿の棟札には「南無諏訪上下大明神」と記されていることから、この頃に諏訪大明神が勧請されたと考えられます。延宝2年（1674年）に鳥居が建立された際には、三明神を列記した石額が掲げられましたが、現在に至るまで社号は定められていません。

社格変遷

大正14年（1925年）には、産土神としての村社から郷社への昇格運動が始まり、昭和20年（1945年）に内務大臣の認可を受けましたが、GHQの占領政策により社格は改称され、「郷社」の文字は抹消されました。平成13年（2001年）には、神社庁の運営都合により三級社の認定を受けています。氏子総代は、「神社名に祭神が羅列され、主体が不明である」と指摘しています。氏子戸数は約450戸です。

境内

境内の面積は848坪で、町道から太鼓橋を渡ると、市指定天然記念物である大ケヤキがそびえる鎮守の森が広がります。境内には、秋葉神社や農業用水として利用されているため池、そして拝殿があります。拝殿の裏手には、江戸中期に再建されたとみられる本殿が鎮座しています。

祭事

筒粥神事

筒粥神事は、天文年間に武田信虎によって始められたとされる、五穀豊穣を占う神事です。富士の浅間神社、御嶽の金桜神社、そして穂見諏訪十五所神社にて行われました。毎年1月14日から15日にかけて行われ、小正月の行事として地域に根付いています。

神事では、月並、物価、田方、畑方、商業、工業、サービス業、災害など69項目について、葦を粥で煮込み、その中に入った米粒の数で吉凶を占います。この占いの結果は、一般の参拝者にも公開されます。かつては神社の御手洗池にある葦を用いていましたが、現在は長さ20センチメートル、太さ1.2センチメートルに揃えられた葦が用いられます。玄米と水を使い、数時間をかけて粥が炊き上げられ、筒切り係、米粒の数え係、記録係によって神事が執り行われます。

その他の年中行事

主な祭事としては、正月の行事が挙げられます。

文化財

市指定文化財

穂見諏訪十五所神社本殿: 江戸時代中期の再興と推定される、長坂町現存最古の建築物。1976年（昭和51年）に指定。
穂見諏訪十五所神社の大ケヤキ: 樹齢700年を超える古木で、かつては夫婦ケヤキとして2本あったが、現在は1本のみ。縁結びやいぼ取りにご利益があるとされる。1970年（昭和45年）に指定。
穂見諏訪十五所神社の筒粥の行事: 小正月の行事として行われる筒粥神事。1970年（昭和45年）に指定。

現地情報

所在地

山梨県北杜市長坂町上条宮久保1461

交通アクセス

鉄道: JR長坂駅から徒歩約10分
車: 中央自動車道長坂ICから約5分

参考資料

長坂町誌編纂委員会『長坂町誌 下巻』長坂町、1990年
長坂上条区誌編集委員会『長坂上条区誌』長坂上条区、1997年
『甲斐国 社記・寺記 第一巻』山梨県立図書館、1967年
『北杜市勢要覧2014』北杜市政策秘書課、2014年
『山梨百科事典』山梨日日新聞、1972年

外部リンク

穂見諏訪十五所神社 - 山梨県神社庁
* 穂見諏訪十五所神社 - 公益社団法人やまなし観光推進機構

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