積田洋

積田 洋（つみた ひろし、1951年生まれ）は、日本の建築界において、建築学者および建築家という二つの側面から貢献している人物です。特に、空間計画学という分野の確立と発展に初期から深く関わった代表的な研究者の一人として、その学術的な業績は高く評価されています。2021年時点では、東京電機大学未来科学部の学部長として、教育・研究の組織運営において指導的役割を担っています。また、最高学府である東京大学より博士（工学）の学位を授与されています。

積田氏は東京都で生を受けました。学業においては、1975年に東京電機大学工学部建築学科を卒業後、さらに同大学院で研究生として研鑽を積みました。大学での学びを終えた後、設計事務所での実務経験を通じて建築設計の実践的な知識と技能を習得しました。その後、母校である東京電機大学に戻り、未来科学部建築学科の教授として教鞭をとることになります。同学科の学科長を務めた後、現在は未来科学部の学部長として、学部全体の運営責任者となっています。

研究分野においては、空間計画学という比較的新しい学問領域の創成期から、その理論的基盤の構築と普及に尽力してきました。積田氏は、船越徹氏と共に建築・都市空間研究室を主宰しており、この研究室を拠点に、建築空間や都市空間に関する様々な研究プロジェクトを進めています。彼らの研究は、空間の認識、利用、計画に関わる多角的な視点を提供し、後続の研究者や実務家にも大きな影響を与えています。

積田氏の学術的成果は、多数の共著書として発表されています。これらの著作は、空間学、都市計画、建築設計、建築情報など、幅広いテーマを網羅しており、専門家だけでなく、建築や都市に関心を持つ人々にとっても貴重な情報源となっています。主な共著書には以下のようなものがあります。

『建築・都市計画のための空間学』（井上書院、1990年）
『空間体験-世界の建築・都市デザイン』（井上書院、1998年）
『空間演出』（井上書院、2000年11月）
『建築・都市計画のための空間計画学』（日色真帆他、井上書院、2002年5月）
『建築情報用語辞典』（2003年7月）
『空間要素』（2003年7月）
『計画設計情報活用事典』（2003年7月）
『建築・都市計画のための空間学事典』（井上書院、2005年4月）
『空間デザイン事典』（井上書院、2006年7月）
『建築設計テキスト 事務所建築』（彰国社、2008年3月）
『建築・都市計画のための空間の文法』（船越徹、彰国社、2011年8月）
『建築・都市計画のための調査・分析方法』（鈴木弘樹他、井上書店、2012年5月）
『建築空間計画』（福井通他、彰国社、2012年9月）
『建築設計テキスト 図書館』（恒松良純、彰国社、2016年2月）
『建築・都市計画のための空間学事典 増補改訂版』（井上書院、2016年10月）
『建築設計テキスト 併用住宅』（金子友美他、彰国社、2016年12月）

これらの著作活動を通じて、積田氏は空間計画学をはじめとする関連分野の知識を広く共有し、研究者や実務家の教育・育成にも貢献しています。教育者、研究者、そして建築家としての多岐にわたる活動は、日本の建築・都市空間研究および教育の発展に不可欠な役割を果たしています。

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