空中歩行具

空中歩行具について

空中歩行具（くうちゅうほこうぐ）は、大日本帝国陸軍が特殊作戦のために開発した自由気球です。この装置は、特に後方攪乱を目的とした運用を想定しており、完全装備の兵士をソビエト連邦の領土内に送り込むことを目指しました。

構造と運用方法

空中歩行具は、機動第2連隊によって設計されました。気嚢はふ号兵器と似た材質、具体的には和紙とコンニャク糊を用いた球形で、水素が充填されています。しかしながら、親気球（主気球）だけでは浮力が足りないため、補助的に小型の子気球も使用されます。操作する兵士は、親気球を落下傘用の装帯で身体に固定し、子気球の吊索を手で掴む形で使用します。

また、兵士は機関短銃やその他の装備品に加え、高度と重量を調整するための砂袋も装着していました。この操作により、昼夜を問わず目立たずに高高度まで昇ることができました。具体的には、約3,000メートルの高度に達することが想定されており、この高度ならば酸素吸入器なしでも呼吸が可能です。

実績と訓練

空中歩行具は、機動第2連隊の独立気球挺身隊に配備され、こちらで徹底的な訓練が行われました。訓練の結果、高度500メートル、飛距離約4キロメートルに達することができました。訓練中の操作では、気嚢の下部に設けられたガス調整弁を使って降下速度を調整することが可能でした。

しかしながら、ノモンハン事件などにおいて関東軍が気球の使用に関して懸念を抱くようになったため、空中歩行具は実戦に出ることはありませんでした。結局、1945年8月の太平洋戦争終戦まで、この装置が活用されることはありませんでした。

基本情報

• - 全高: 10.0メートル
• - 親気球の直径: 5.6メートル
• - 昇騰高度: 約3,000メートル
• - 乗員数: 1名

参考文献

この情報に関しては、坂本明著『最強 世界の特殊部隊図鑑』および桜井英樹著『もしも☆WEAPON 完全版 世界の試作・計画兵器』を参照しました。

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