穿鼻草約

穿鼻草約（せんびそうやく）

穿鼻草約は、1841年に清とイギリスの間で発生した阿片戦争を解決するための最初の試みとして提案された条約です。しかし、両国間の合意が得られなかったため、正式に批准されることはありませんでした。

背景

1841年1月、イギリス海軍のチャールズ・エリオット大佐は、広東省の省長であった琦善に対し、阿片戦争の交戦状態を終結させるための条約への署名を求めました。会談は、虎門に隣接する沙角炮台（中国語名：穿鼻砲台）で行われたため、この条約は一般的に穿鼻草約として知られています。この会談は、1月7日に発生した第二次穿鼻の戦いの後、1月20日に行われました。

条文

1月20日、チャールズ・エリオットは、琦善との間で以下の状況に関する「予備協定の締結」を発表する回状を発行しました。

清は香港をイギリスに割譲する。
イギリスは虎門要塞を占領する。
清はイギリスに600万ドルの賠償金を支払う。
両国間の貿易を再開する。

しかし、この草約には、特に清が香港において徴税を継続できるという条項が含まれていました。イギリスのパーマストン子爵ヘンリー・ジョン・テンプルは、この点が合意を妨げる主要な「邪魔な」点であったと指摘しています。

余波

琦善は条約への署名を望んでいましたが、道光帝からの正式な同意を得ることができず、条約に署名することはできませんでした。皇帝は条約の内容を知ると、琦善を解任しました。同様に、イギリス政府も条約の内容に不満を抱き、その結果としてエリオットを解任しました。

穿鼻草約の内容の多く、特に香港の割譲は、後に1842年に締結された南京条約に盛り込まれることとなりました。穿鼻草約は批准されなかったものの、その内容は後の条約に影響を与え、阿片戦争の終結に向けた重要な一歩となりました。

脚注

嶺南大学（香港）Poon Suk-wah博士の講義ノート

関連項目

中英関係
阿片戦争
南京条約

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