突破口!

突破口!

『突破口!』（原題：Charley Varrick）は、1973年に製作されたアメリカのギャングアクション映画です。この作品は、ジョン・H・リースの犯罪小説『The Looters』を原作としており、ドン・シーゲルが監督を務め、ウォルター・マッソーが主演を飾っています。また、本作は1973年度の英国アカデミー賞で主演男優賞を受賞しています。

あらすじ

物語の主人公、チャーリー・ヴァリックは元曲芸飛行パイロットですが、現在はニューメキシコ州の小さな村で農薬散布の仕事をしている中年の男性です。その裏の顔として、彼は小さな銀行を狙った銀行強盗も行っています。チャーリーは、田舎の銀行を狙い、毎回1万から2万ドル程度の金額を奪っては満足していました。しかし、ある日、彼は仲間と共にいつものように小さな銀行を襲撃しますが、事件は大きく展開します。

逃げるための車で待機していた妻ネイディーンが警官と交戦し、警官を射殺してしまうのです。この銃撃戦でネイディーンは重傷を負い、その後すぐに命を落としてしまいます。チャーリーと相棒のハーマンは、ネイディーンの遺体をそのまま車に載せ、火を放って逃げます。無事にアジトへと戻った二人ですが、そこで発見したのは、何と奪った金額が75万ドルという驚異的な額だったのです。

この金は実はマフィアの隠し金であり、彼らは警察やFBI以上の恐ろしい存在に目を付けられてしまいます。追われる立場となったチャーリーは、マフィアの冷酷な殺し屋モリーの追跡を逃れるため、頭を使って身を隠しつつ、逃亡を図ります。

キャスト

『突破口!』には個性的なキャラクターが登場し、中でもウォルター・マッソーが演じるチャーリーが主軸となります。他にも仲間役のハーマンや、チャーリーの妻ネイディーンの存在感も物語の緊迫感を増しています。さらに、マフィアの手先として冷酷な殺し屋モリーが登場し、ストーリーに緊張感をもたらします。

位置づけと評価

本作は、ドン・シーゲル監督が雇われの職人監督から自身のプロダクションを立ち上げて作成した作品として、大きな意味を持っています。アメリカではクエンティン・タランティーノの『パルプフィクション』などにオマージュとして言及されるなど、多くの映画ファンに愛され続けています。日本においても、多くの監督や批評家がその完成度を絶賛しており、特に井筒和幸監督は、本作を犯罪映画の名作として挙げています。

映画は、ストーリーのクライマックスに向けて意外な展開を見せ、観客を引き込んでいきます。チャーリーが直面する数々の危機と、彼の知恵で乗り越えようとする姿が、非常に熱気あふれる映像として描かれています。2023年現在でも、その深いテーマや緊迫したドラマは、多くの視聴者に新たな発見を提供し続けています。

このように、『突破口!』はただのギャング映画に留まらず、金銭や権力、そして人間の欲望が絡み合う深いドラマが展開される名作となっています。

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