突風 (松本清張)

短編小説『突風』について

松本清張の短編小説『突風』は、1961年に『婦人公論』に掲載された後、1966年に短編集として刊行された作品です。この小説は、主に妻としての苦悩と愛の形をテーマにしています。物語は葉村明子という女性を中心に展開し、彼女の心の葛藤が巧みに描かれています。

あらすじの概要

葉村明子は、職業上昇の道を歩む夫・寿男の不貞に気づき、その真相を追い求めます。寿男は明子に浮気を打ち明けず、明子は次第に耐えきれなくなります。彼女は調査を進め、浮気相手が銀座のバーで働く若い女・みどりであることを突き止めます。明子はみどりとの対面を決意し、緊張の中でバーを訪れるのですが、みどりは意外にも明るい性格で、寿男との関係は商売上のものだと明子に告げます。明子はその言葉を信じ、自分の心情を整理しようとします。

しかし、夫の様子は一向に変わらず、明子は不安に駆られます。さらなる真実を知るために探偵社を雇った結果、みどりが藤田良一という男性と同居していることが分かります。この良一は、みどりの生活の糧として頼られているヒモの存在。明子はこのことを知らされ、良一に直接会って説得を試みることを決意します。

主な登場人物

• - 葉村明子: 主人公であり、夫の浮気に悩む女性。
• - 葉村寿男: 明子の夫。会社の総務部長。
• - 芳村みどり: 寿男の浮気相手。
• - 藤田良一: みどりと同居する男性。

クライマックス

明子は良一に会い、寿男との関係を断ち切るよう、みどりに言ってほしいとお願いします。良一は優しい態度を見せ、明子の言葉を真剣に受け取ると約束します。彼の真剣さに触れるうちに、明子は自分の中に新たな感情が芽生えていることに気づくのです。実に複雑な人間関係がここで浮かび上がります。

テレビドラマ化

『突風』は1977年と1983年の2度、テレビドラマとしても放送されています。初版はTBS系列の『東芝日曜劇場』枠で放映され、視聴率は20.4％を記録しました。1983年版は『ザ・サスペンス』枠で放送され、視聴率は13.1％でした。

1977年版キャスト

• - 葉村明子: 三田佳子
• - 藤田良一: 岡本富士太
• - 葉村寿男: 金田龍之介

1983年版キャスト

• - 葉村明子: 根岸季衣
• - 葉村寿男: 前田吟
• - 芳村みどり: 泉じゅん

まとめ

松本清張の『突風』は、浮気と嫉妬、愛と悪意が交差する人間ドラマを繊細に描いた作品です。浮気相手との対峙や、新たに芽生える感情に加え、個々のキャラクターが持つ人間味が作品をより深くしています。ドラマ化されたことで、さらに多くの人々にその内容が親しまれることとなりました。

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