窯業系サイディング材

窯業系サイディング材について

窯業系サイディング材は、セメントと木質系成分を組み合わせて製造される人工的な外壁材です。この材料は、乾式工法で用いられるため、施工も非常にスムーズです。「窯業」という言葉は、陶磁器等を焼成する際に高温の炉を用いて鉱物などの無機質素材から製品を生成する行為を指しますが、窯業系サイディング材はその一環とはいえません。実際には有機物が混合され高温の焼結を経ていないため、厳密には窯業製品としては位置付けられません。したがって、窯業系サイディングは「窯業に関連する企業が製造したサイディング」という意味合いを持ち、その名称から誤解を招く可能性があります。

特徴と性能

このサイディング材は、セメントの強度と木質の持つ優れた断熱性を活かしており、表層にはガラス質のコーティングを施すことで耐久性も保たれるよう設計されています。しかし、耐候性や耐光性に関しては、有機系の塗装やコーティングには及ばないため、数年ごとに再塗装が必要になります。このことから、長期的な維持費用が他の外壁材に比べて必ずしも安いとは言えません。

デザイン面では、煉瓦風や石造風など、古典的な欧米の住宅様式を模したスタイルが一般的です。ただし、生産時に用いられる色調が鮮やかであっても、時間の経過と共に再塗装時に単一的な見た目に変わってしまうこともあります。

他のサイディング材としては、金属系、樹脂系、木材なども存在しますが、防火性能や施工の容易さから、窯業系サイディングが普及し、現在では戸建て住宅の外壁の70%以上を占めています。また、2008年に建築基準法が改正され、2010年以降は、新築物件における12mm厚の窯業系サイディングの使用が原則として禁止されることとなりました。

標準規格と認定

窯業系サイディングの建築材料としての規格は、日本工業規格のJIS A 5422に記載されています。また、外壁工事の標準仕様については、日本建築学会の仕様書「JASS27 乾式外壁工事」があります。施工者には、厚生労働省認定のNYGサイディング施工士資格が必要とされています。

主要メーカーと歴史

主要な製造業者には、ニチハ（名古屋市）、ケイミュー（大阪市）、旭トステム外装、神島化学工業（大阪市）などがあります。過去には新興企業が製造していた例もありますが、住宅市場の変動により、大手メーカーへと集約が進んでいます。例えば、かつては金属サイディングが有名だった新興産業が2003年に倒産し、その後も関連企業がいくつか清算されています。

実際に、大手企業への営業譲渡や統合により、ブランドが消滅する事例が続発していますので、現状の製品群には大きな変化が見られます。

まとめ

窯業系サイディングは、セメントと木質系成分から作られる耐久性のある外壁材ですが、その特性には再塗装による維持費用の考慮が必要です。市場での競争や市場ニーズによって今後も進化し続けることでしょう。

もう一度検索