立場新聞

立場新聞とは

立場新聞（Stand News）は、2014年に香港で設立されたオンラインニュースメディアです。主場新聞の元創設者である蔡東豪氏を中心に、鍾沛權氏、余家輝氏が創設者兼編集長を務め、呉靄儀氏、方敏生氏、何韻詩氏、練乙錚氏、周達智氏などが役員として名を連ねていました。しかし、2021年12月29日に香港当局の捜査を受け、その日をもって閉業しました。

名前の由来と設立理念

「立場」という名前は、設立時のスピーチで、自らの立場を明確にし、隠蔽や回避をせずに真実の報道に徹するという強い意志を表しています。これは、香港の報道の自由を守り、市民に正確な情報を届けるという彼らの使命感を示すものでした。

主場新聞との違い

立場新聞は、前身である主場新聞とは異なり、個人株主が存在しません。この構造は、創設者たちが立場新聞の持続可能性を重視した結果です。彼らは、株式の経済的利益と処分権を放棄する信託契約を結び、長期的な視点で新聞の独立性を維持しようとしました。

活動内容

立場新聞は、香港内外の重要な出来事を幅広く報道してきました。

クラウドファンディング: 2015年8月には、広告以外の収入源を確保するためクラウドファンディングを開始し、市民からの支援を受けました。
台湾総統選挙: 2020年1月には、取材班が台湾総統選挙を直接取材し、候補者、学者、有権者、台湾在住の香港人、中国本土の学生にインタビューを行い、多角的な視点から選挙の様子を伝えました。
特別番組: 2020年11月には、特別生番組を放送し、「周梓樂の死を追う」や「記者とあなたの政策演説」など、社会的に重要なテーマを取り上げました。
海外展開: 2020年12月16日には、イギリス駐在部隊を立ち上げ、移住した香港人の声を拾い上げ、契約協力記者を募る計画を発表しました。

論調と報道姿勢

立場新聞は、香港本土主義と反共主義の論調で知られています。その報道姿勢は、政府や関係者と対立することも多く、特に2019年の香港逃亡犯条例を巡る論争では、香港警察や香港政府を支持する人々から、嫌がらせや標的にされることがありました。中には逮捕された記者もおり、その状況は他のメディアでも報道されました。しかし、立場新聞は、警察に提出した被害届が調査されない状況を批判し、警察の不透明な対応を非難しました。

香港国家安全維持法成立後の弾圧と閉鎖

2020年に香港国家安全維持法が施行されてから、立場新聞は政府からの圧力を強められ、最終的に閉鎖に追い込まれました。2021年12月29日には、運営停止が発表され、全従業員が解雇され、6000万香港ドルの資本金が凍結されました。さらに、同日、関係者7名が扇動出版物発行共謀の疑いで逮捕されました。この事件は国際的な非難を浴び、アメリカ合衆国のアントニー・ブリンケン国務長官は、中国政府と香港当局に対し、不当に拘束・起訴された記者や幹部の即時釈放を求めました。
また、山梨学院大学特任教授の練乙錚氏も「扇動出版物発行共謀」罪により指名手配されました。

立場新聞の閉鎖は、香港の報道の自由が著しく制限されている現状を象徴する出来事であり、その背景には、中国政府による香港への統制強化の意図が見られます。立場新聞の活動と閉鎖は、言論の自由と報道の独立性を守ることの重要性を改めて示唆しており、国際社会にとって重要な教訓となるでしょう。

脚注

外部リンク
Stand News 立場新聞
Stand News 立場新聞 - Facebook
Stand News 立場新聞 - X（旧Twitter）

もう一度検索