立法議会 (トンガ)

トンガ王国立法議会：民主主義の歩みと現状

トンガ王国の立法府である立法議会（Fale Alea）は、国王と共同して立法権を担う重要な機関です。本稿では、その構成、選挙制度、権限、そして最近の動向について詳述します。

議会構成と選挙制度

立法議会は、計28議席から構成されます。その内訳は、国民から直接選出される人民代表議員17名、貴族議員による互選で選ばれる貴族議員9名、そしてその他の議員2名です。

人民代表議員の選挙は、17の小選挙区制で争われます。選挙権は21歳以上のトンガ国民に与えられていますが、男性貴族は除外されています。さらに、納税義務の履行、読み書き能力、行為能力も有する必要があります。被選挙権に関しても同様の条件が課せられます。加えて、債務不履行者や国王から給与を受けている者は立候補できません。

貴族議員は、貴族層による互選で選出されます。その他の議員の選出方法については、憲法で規定されています。

この選挙制度は、2010年の改革によって大きく変わりました。それ以前は、職権議員が多数を占める構成でしたが、改革によって国民の代表性を高める方向へ舵を切られています。しかし、依然として、貴族層の影響力が大きい制度であることに留意が必要です。

2021年選挙と最近の動向

2021年11月に行われた最新の選挙では、人民代表議員17議席のうち、無所属候補が大半を占めました。フレンドリー諸島民主党とトンガ人民党がそれぞれ数議席を獲得したものの、政党勢力の影響力は限定的であると言えます。

注目すべきは、選挙後に発覚した収賄疑惑です。当選した閣僚3名が収賄容疑で訴追され、2022年には当選無効とされ、失職するという事態となりました。この事件は、トンガの政治における透明性と説明責任の問題を浮き彫りにしています。

立法議会の権限と憲法改正

立法議会は、国王と共同して法律を制定する権限を有します。法律案は三読会を経て、多数決で可決された後、国王の裁可を受ける必要があります。国王は、法律案の裁可を留保することができます。

ただし、国王や王室、貴族の称号・相続財産に関する法律については、貴族議員のみが審議・表決することができます。憲法改正についても、国王の裁可を得る必要があります。憲法改正は、自由、王位継承、貴族の称号と世襲財産に影響を与えない範囲に限定されます。枢密院と内閣の全員一致の賛成がなければ、国王は憲法改正案を裁可しません。

議会の運営

議長は国王が任命し、議会は少なくとも12ヶ月に1回は召集されます。定足数は総議員の半数で、定足数に満たない場合は、国王または議長が出席を命じることができます。命令に従わない議員には制裁が科される可能性があります。

まとめ

トンガ王国立法議会は、民主主義の進展と伝統的な政治システムとの間でバランスを取りながら運営されています。2010年の改革は重要な一歩でしたが、課題も多く残されています。収賄疑惑や貴族層の影響力など、今後の政治改革において克服すべき点も多く存在します。今後のトンガの政治の行方を見守る必要があります。

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