竜馬がゆく (NHK大河ドラマ)

概要

『竜馬がゆく』は、1968年1月7日から12月29日まで放送された第6作のNHK大河ドラマです。本作は、明治百周年を記念して制作され、著名な作家司馬遼太郎の同名小説を原作とし、さらに坂本龍馬の生涯をドラマチックに描いています。主演は北大路欣也が担当しており、彼の演じる坂本龍馬は、大河ドラマで初めて地元の方言を使用する主人公としても注目されました。特筆すべきは、この作品が大河ドラマとして最後のモノクロ作品である点です。また、司馬遼太郎の作品を基にした最初のシリーズでもありました。

制作背景

この作品は前年の『三姉妹』に続く幕末ものとして制作され、同じ歴史的観点から生まれた作品が2年連続で放送された例でもありました。さらに、地元の高知でロケが行われたのは大河ドラマでは初めての試みであり、1968年3月には高知での撮影が行われました。

当初の演出は辻元一朗が担当していましたが、脚本を書いた水木洋子との関係があまり良好でなかったため、和田勉が後任に選ばれました。和田の演出は、スピーディーなテンポが特徴で、彼は初回の撮影で出演者に「これまでの2倍の速さでセリフを言ってほしい」と指示しました。この結果、作品のテンポが大きく変わり、視聴者にとっての印象にも影響を与えました。

北大路欣也は役作りのため、実際に道場に通い剣術を学び、三味線や一弦琴にも挑戦しました。その姿勢は司馬遼太郎にも評価され、「あなたには竜馬に似た魅力がある」と言われたほどです。

ストーリーとキャラクター

物語の中心となるのは坂本龍馬であり、北大路欣也が演じる彼は、革命を目指す熱い青年として描かれます。彼の周囲には、家族や同士が多く登場し、特におりょう役の浅丘ルリ子などが重要なキャラクターです。また、竜馬の姉や兄、友人たちも物語に深く関与しており、彼の成長や苦悩を探求する上で欠かせない存在です。

反響と視聴率

放送当初の視聴率は22.9%とまずまずのスタートを切ったものの、時間が経つにつれて視聴率は低迷し、最終的には平均14.5%となりました。これは1994年に記録された『花の乱』までの最も低い数字となりました。

音楽と演出

オープニングの映像は上空の雲海を撮影したもので、主題曲は間宮芳生が担当したマーチ調の曲です。オープニングのクレジット表記は他の大河ドラマとは異なり、ゴシック体で統一されています。

映像の現存状況

現在、放送された全てのエピソードが現存しているわけではなく、現存する映像は第16話のみとなっています。他のエピソードは放送終了後に消去されたとされていますが、ビデオ「想い出の大河ドラマ」などには貴重な映像が収録されています。

『竜馬がゆく』は、日本のドラマ史における新たな試みとして評価されただけでなく、坂本龍馬の生涯を通して多くの視聴者に感動を与えました。

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