端宗 (朝鮮王)

端宗（たんそう）

端宗（たんそう、李氏朝鮮第6代国王）は、1441年に誕生したが、母親を早くに失い、祖父世宗に育てられました。1452年に11歳で即位したものの、国を支える王妃が不在であり、主導権を持つ者もいない難しい状況でした。今後の治世は、彼を支える親族たちや実力者たちの思惑に翻弄されることになります。

治世の始まりと権力闘争

1452年の即位後、端宗は叔父である首陽大君（後の世祖）や錦城大君に政権を預けることにしました。一方で議政府では、皇甫仁と金宗瑞が実権を握り、王が選定に印をつける黄標政事制度によって権力が集中していました。これによって、成三問をはじめとする学者たちは批判を呼び起こします。

1453年には、首陽大君が多くの有力貴族と連携を深め、端宗の補佐として政権を掌握します。この頃には端宗を支えた大臣たちが次々と排除され、1454年には特に権力が凝縮され、彼自身も孤立を深めます。1455年、権力闘争が激化し、最終的には首陽大君の陰謀により即位から追放され、上王へと降格させられました。

降格と悲運の影

降格後、端宗は追放されることとなり、彼に代わって首陽大君が実権を握り続けます。学者たちが彼の復位を計画するも、その試みは失敗に終わり、1456年に多くの者が処刑されました。同年、端宗もまた上王としての地位を失い、庶民に降格され、江原道の寧越へ追放されます。彼の運命をさらに悲劇的なものとしたのは、この追放中に、命令により毒殺され、遺体が川に投げ込まれたことです。享年わずか16。

没後の評価と記憶

端宗の死後241年が経過した1698年、彼は復位され、名誉を回復されました。2007年には、没後550周年を記念して国葬が行われ、採り行われた追悼式典には多くの人々が集い、彼の冥福を祈りました。端宗の物語は、ただの歴史にとどまらず、韓国の文化や信仰にも影響を与える存在として語り継がれています。

逸話と文化的影響

端宗にまつわる逸話も多く、特に彼が死んだ日には、夢に登場したというエピソードがあります。前漢の秋益漢が見た夢の中で、端宗が「太白山に行く」と告げ、その後彼は太白山の神として民間信仰に組み込まれました。彼の影響は小説、映画、ドラマなど様々な作品に描かれ、現在もなお彼の存在は大きな文化的意義を持っています。

家系と妻子

端宗は文宗の子として誕生し、後に定順王后を正室に持ちましたが、子女には恵まれませんでした。彼の家系には世宗や昭憲王后、広義には朝鮮王朝の歴史にも貢献した人々が揃い、彼自身もまたその一翼を担った王でした。彼の支配者としての短い生涯は、数々の歴史的背景と関連しながら韓国の歴史の中で重要な位置を占めています。

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端宗の物語は、権力と悲運、そして韓国人の文化と神話に深く根付いた重要な要素といえます。彼の影響は、単なる歴史的事実を超え、今なお多くの人々に語られ続けています。

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