競馬会神事

賀茂競馬（くらべうまえしんじ）について

賀茂競馬は、毎年5月5日に京都市北区の賀茂別雷神社（上賀茂神社）で行われる伝統的な神事です。この神事は、五穀成就と天下泰平を願うために実施され、1983年には京都市の登録無形民俗文化財として認定されています。また、賀茂競馬を保護するために設立された賀茂競馬保存会がその意義を継承しています。

歴史的背景

賀茂競馬の起源は1093年（寛治7年）にさかのぼります。当初は宮中の武徳殿で行われていた節会の競馬会式が、上賀茂神社に移され、以降年中行事として定着しました。徒然草の中で、当時の競馬の様子が「五月五日、賀茂の競べ馬を見侍りしに」と記されており、江戸時代には、上賀茂競馬の絵画が製作されるなど文化的にも重要な位置を占めていました。さらに、賀茂競馬は俳句の季語にもなっており、著名な俳人正岡子規はこの行事を詠みました。

日程と儀式

賀茂競馬は、数日間にわたって行われるさまざまな儀式で構成されています。

• - 5月1日: 「足汰式」と呼ばれる儀式が行われ、出場する馬20頭が走り、組み合わせが決まります。
• - 5月3日: 騎者の家で親族が歓待されます。
• - 5月4日: 騎者が下賀茂社に参拝します。
• - 5月5日: 競馬当日、正午に一番太鼓が打たれ、未刻に三番太鼓が打たれます。この日は、左と右の騎者に分かれ、それぞれ赤方と黒方として競い合います。左方の騎者は緋の衣装を、右方の騎者は黒の衣装を着ます。

競馬は、特製の競馬太刀を持ち、腰に菖蒲を巻いて行われます。勝敗は9番で決定し、左方が勝った場合は太鼓が打たれ、右方が勝つと鉦が鳴ります。勝敗時には、それぞれに応じた扇が用意され、引き分けの場合は両者の扇が出されます。

特に京都の自然も重視され、出発地点には桜の木、決勝地点には楓の木が植えられています。勝利した騎者には白絹が与えられ、それを頭上に振り上げて喜びを表現します。

• - 5月6日: 勝敗の仲直りとして、騎者20人が貴船社に参拝します。この際、社僧が梅を切り、舞うことが古い習わしとされています。
• - 5月9日: 競馬の柵（埒）が取り除かれ、行事は一区切りつきます。

まとめ

賀茂競馬は、ただの競馬という枠を超え、古来からの文化と伝統を色濃く残した神事です。地域の人々にとっては重要な行事であり、歴史的な意味を持つ競馬として、今も多くの人々に愛されています。この神事を通じて、五穀成就と平和を願う気持ちが伝えられ、未来へと受け継がれていくことでしょう。

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