竹中正久

竹中正久（たけなか まさひさ）

竹中正久は1933年11月30日に兵庫県飾磨郡御国野村（現在の姫路市）で生まれました。彼は父が村議会の議員を務めた家庭に育ちましたが、12歳で父を失い、厳しい思春期を過ごすこととなりました。旧制姫路市立鷺城中学校を中退し、その後は数多くの暴力事件や逮捕歴によって、周囲の人々から一目置かれる存在となりました。彼は1960年に地域の不良たちを結集し、竹中組を設立しました。

竹中の弟である英男が大島組からの盃を求められた際、彼は兄の竹中を一人前にしたいと考え、組入りを拒否しました。そのため、親友である宇野正三が竹中を山口組に推薦しました。しかし、竹中の参加は地元の湊組と渋谷組から反対を受けました。その後、竹中は1961年に正式に山口組の直参となり、彼の関与が始まります。

竹中は山口組内で急速に頭角を現し、1962年には「博多事件」に関与し、名を轟かせました。この事件によって彼は山口組内で武闘派としての地位を築き、その後の若頭補佐就任に至ります。しかし、1978年に抗争の結果として懲役2年の有罪判決を受け、刑務所に服役します。

1981年以降、山口組のトップである田岡一雄や若頭の山本健一が相次いで死亡し、組内の権力構造が激化します。竹中は若頭に就任しますが、すぐに賭博開帳による所得税法違反で逮捕され、再び刑務所に入ることになります。

1984年、竹中は山口組の四代目を継承する決断を下しましたが、これに対する反発が生じ、一和会との抗争へと発展します。竹中はその武闘派のリーダーシップによって一和会を圧倒していきますが、反対勢力は暗殺計画を立てるなどの動きを見せます。1985年1月、竹中は待ち伏せされた結果、射殺されました。この事件により、山口組は再びリーダーを失うこととなりました。

信条と人柄

竹中正久には「荒らぶる獅子」という異名があります。彼は忠義に厚く、敵に対しても組内の仲間に対しても筋が通らないと判断すると断固として行動を起こしました。特高警察による拷問で兄を失った経験や、少年院に送致された過去から、官憲や権力に対して強い敵意を持っていました。

組織の内部でのトラブルについても、竹中は必要とあれば強硬手段に出る一方で、彼自身は私生活ではストイックな一面がありました。贅沢な生活には関心がなく、多くの時間を勉強に費やし、一般の人々と同じような生活を求めました。彼はまた、女性との関係においても慎重であり、生涯独身を貫きました。

竹中は常にその言動に強い自信を持ち、周囲に護衛を必要としないと公言していましたが、その姿勢が彼の運命を左右する要因となりました。彼の死は、当時のヤクザ界に大きな衝撃をもたらし、竹中の名は現在も多くの人々に記憶されています。

もう一度検索