竹内淳彦

竹内淳彦：日本の経済地理学に貢献した研究者

竹内淳彦（1935年3月20日-2015年6月19日）は、日本の経済地理学を牽引した著名な学者です。長野県松本市に生まれ、東京学芸大学、立正大学大学院を経て、日本工業大学教授として長年にわたり研究と教育に携わりました。その専門は経済地理学、特に日本の工業地域に関する研究で知られています。

初期の経歴と研究活動

1957年に東京学芸大学（現・東京学芸大学教育学部）を卒業後、東京工業高等学校に赴任。同時に立正大学大学院文学研究科に進学し、1959年に修士課程を修了しました。その後、1967年には日本工業大学の開学と同時に助教授として着任し、1985年には教授に昇進。2006年に定年退職するまで、同大学で教鞭をとり、多くの学生を育成しました。

彼の研究活動の中心は、日本の工業地域、特に京浜地域の分析でした。1976年には「京浜地域における工作機械工業の地理学的研究」で立正大学より文学博士号を取得。この研究をはじめ、長年にわたる地道な実態調査と綿密な分析、そしてそれらを統合する理論構築は高く評価され、「竹内工業地理学」として広く知られるようになりました。

学術的貢献と社会への影響

竹内氏の研究は、単なる学術的な貢献にとどまりませんでした。彼は、自身の研究成果を地域・産業政策への提言に活かしました。その実践的な姿勢は、多くの関係者から高く評価されています。例えば、川崎公害裁判では、専門家として証言台に立ち、自身の研究に基づいた客観的な見解を示しました。これは、学者の社会的な責任を体現したと言えるでしょう。

主要な著作物

竹内氏は、数多くの著作を発表し、日本の経済地理学の発展に貢献しました。代表的な著書としては、『日本の機械工業』（1973年）、『工業地域構造論』（1978年）、『技術集団と産業地域社会 大都市の場合』（1983年）、『技術革新と工業地域』（1988年）、『工業地域の変動』（1996年）などがあります。これらの著作は、今日でも日本の経済地理学研究において重要な参考文献として参照されています。また、回想録である『ゆれ動く世界 思い出の会議と旅から』（2012年）、『ひとすじの途』（2012年）も著しています。これらの著書は、単なる学術書ではなく、その時代に生きた研究者の視点と経験が詰まった、読み応えのある内容となっています。さらに、多くの共編著にも携わり、幅広い分野の研究者との交流を通して、自身の研究を深めていきました。

受賞歴と栄誉

その功績により、1990年には『技術集団と産業地域社会』（1983年）で中小企業研究奨励賞を受賞。2013年には瑞宝中綬章を叙勲されました。これらの受賞歴は、彼の研究活動が社会的にどれほど高く評価されているかを物語っています。

まとめ

竹内淳彦氏は、日本の経済地理学における第一人者として、その研究活動を通して日本の産業構造や地域経済の発展に多大な貢献をしました。彼の研究は、今日においても日本の経済地理学研究に多大な影響を与え続けており、その業績は後世に長く語り継がれることでしょう。彼の生涯と業績は、研究者としての真摯な姿勢と社会貢献の精神を示す、貴重な事例となっています。

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