竹本染太夫

竹本染太夫の歴史

竹本染太夫（たけもと そめたゆう）は、古典音楽の一形式である義太夫節の重要な太夫（語り手）として知られています。彼の名は長い歴史の中で多くの次代に受け継がれていますが、9代目の没後はその系譜が途絶えてしまっています。

初代の誕生と名跡の始まり

初代竹本染太夫は、生年については不明ですが、1785年に他界しています。本名は田穂屋源七で、1754年に入門し、義太夫節の世界に入ってきました。彼は1771年に発表された「妹背山婦女庭訓」で一躍注目を浴び、江戸時代の義太夫節の復興に大きく貢献しました。その功績により、彼は「義太夫節中興の祖」と称されています。通称としては源七の染太夫や伝法屋源七などの呼び名でも知られています。

2代目から4代目までの変遷

2代目染太夫は江戸中期から後期にかけて活躍し、1786年に三根太夫から襲名しましたが、1788年には引退します。

3代目は生年不詳で、文化3年（1807年）に没しました。彼は2代目政太夫の弟子として知られ、大坂の生玉で育ち、初代竹本梶太夫を名乗りました。

4代目は、生年が宝暦6年（1756年）で、文政6年（1823年）に亡くなりました。本名は和泉屋孫兵衛であり、初代竹本重太夫の弟子でした。彼も1807年に4代目染太夫の名を継ぎ、その通名でも広く知られるようになりました。

5代目から9代目の系譜

5代目は後に竹本越前大掾と名乗るようになり、実子には8代目染太夫がいます。

続いての6代目は、1797年に生まれ1869年に亡くなった金屋美吉郎で、彼は浄瑠璃の伝統に幼少期から親しむ中で成長し、1826年に竹本越前大掾の門下に入門。その後、さまざまな名跡を経て、性格的には「実太夫の染太夫」として親しまれました。彼は自身の日常や浄瑠璃界の出来事を記した「染太夫日記」を残しています。

7代目は文化9年（1812年）に生まれ、1883年に他界した播磨新三郎で、彼は竹本播磨大掾の弟子から5代目染太夫に学び、明治時代に7代目の名を受け継ぎました。

8代目は1844年生まれ、明治17年（1884年）に亡くなった津田熊次郎であり、彼は5代目染太夫の実子にあたります。彼もまた、6代目に教えを受け、名跡を受け継ぎました。

最後の9代目は1853年に生まれ、1916年に亡くなった秋山瀧蔵という人物で、彼もまた様々な名跡を経て9代目染太夫を襲名しました。1875年に竹本登勢太夫としての活動を開始し、1900年代初頭の浄瑠璃界においては重要な存在となったのです。彼は1913年に引退を表明しました。

このように、竹本染太夫の名は何代にもわたり受け継がれ、その伝統は現在にも影響を与えています。その歴史は日本の文化や芸術の一端を深く反映しているのです。

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