笑い講

笑い講（わらいこう）について

「笑い講」は、山口県防府市の小俣地区で行われる伝統的な神事で、防府市の無形民俗文化財に指定されています。この祭りは、天下の奇祭としても知られ、地域の人々にとって重要な文化的行事です。

起源と目的

この神事の起源は鎌倉時代に遡り、1199年（正治元年）に始まったとされています。当初は農業祭として旧暦の12月1日に行われ、大歳神（おおとしがみ）を迎え、1年の収穫への感謝と次の年の豊作を祈願するものだったのです。現在では、祭りは毎年12月の第一日曜日に行われています。

講員と神事の流れ

笑い講の運営は、21戸の講員によって世襲で引き継がれています。毎年一戸が「頭屋」として会場の役割を担い、神事が営まれる場所を提供します。神座には大歳社が安置され、豊饒を象徴するセイゴと稲穂が吊るされるなど、祭りの準備が整います。

神主が祝詞を奏上し、玉串拝礼を行った後、直会としてお神酒と軽食が振舞われます。この後、笑い役を務める8人が四方を囲むように座り、4人が給仕役、1人が審判役に分かれます。

笑いの神事

直会が進む中で神主が「笑いの神事」を宣言すると、講員が対角線で向かい合い、大榊を持って3回笑い合います。この3つの笑いは、「今年の収穫を喜ぶ」「来年の豊作を願う」「今年の悲しみや苦しみを忘れる」という意味が込められています。しまいには、全員が笑って祭りを締めくくります。審判役は、笑い方が適切でない場合にはやり直しを命じることもあります。

変化と現代の認知

笑い講は長い歴史を持つ伝統行事ですが、その形式に関しては時代と共に変化してきました。江戸時代の記録によると、当初は笑い役が中央に立って順番に笑ったとされています。また、元は女人禁制であったものの、戦後には夫を亡くした女性も参加できるようになりました。

近年、年末の祝祭としてマスコミによって取り上げられることが増え、全国的な認知を得るようになっています。

世界お笑い協会

笑い講の特徴を広めるために2012年には「世界お笑い協会」というプロジェクトが立ち上げられ、定期的に「お笑い講世界選手権大会」が開催されています。この協会は、日本ユネスコ協会連盟の「プロジェクト未来遺産」にも登録されています。笑い講の文化を新たな視点から捉え、さらに発展させる取り組みが行われているのです。

まとめ

地域に根ざしたこの笑い講は、ただの祭りにとどまらず、地域の人々にとっての大切な絆を結ぶ役割を果たしています。農業への感謝と未来への希望が込められたこの神事は、来る年への願いを込めたユニークな文化的イベントとなっています。

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