笑福亭仁昇

笑福亭 仁昇

上方落語家として独自の道を歩む笑福亭仁昇（しょうふくてい じんしょう）氏は、1962年4月29日、大阪市に生を受けました。本名を越智 良夫（おち よしお）といい、高座に上がる噺家であると同時に、教育者として教壇にも立つという、異色のキャリアを持つ人物です。

落語家への道のり

仁昇氏は、当初、関西大学工学部に進学しましたが、在学中に中途退学を決断。その後、落語の世界へと飛び込みます。1984年12月、上方落語界における最重要人物の一人、六代目笑福亭仁鶴師匠の門下に入りました。仁鶴門下からは多くの人気落語家が輩出されており、その一員として仁昇氏も研鑽を積んできました。現在は大手芸能プロダクションである吉本興業に所属し、上方落語協会の会員として、上方落語の発展にも寄与しています。

落語と教育、社会貢献

仁昇氏の活動範囲は非常に多岐にわたります。落語家として全国各地の高座に上がるのはもちろんのこと、教育者として高校で教鞭をとっていることは、彼のキャリアを語る上で欠かせない点です。落語家と教師という二つの職業を両立させることは容易ではないと考えられますが、彼は見事にこなしています。

さらに、社会貢献活動にも情熱を注いでいます。特に注目されるのは、七代目桂才賀氏が設立した、自衛隊の駐屯地や基地などを訪れて隊員らを慰労する芸人慰問団「統幕芸激隊」における活動です。仁昇氏はその大阪支部長を務めており、慰問活動を通じて人々に笑顔と元気を提供しています。また、刑事施設や少年院などで受刑者や在院者の相談に応じ、更生を支援する篤志面接委員としても活動しており、その活動は落語の高座のみに留まらず、社会の様々な場所で人々と関わっています。

輝かしい受賞歴

仁昇氏の落語家としての実力は、早期から高く評価されました。特に1997年は、彼のキャリアにおいて重要な年となりました。まず、若手芸術家の登竜門とされる「第34回なにわ芸術祭」において、落語部門の新人賞を受賞。これにより、上方落語界における新進気鋭の存在として注目を集めました。

同年には、「第2回新進落語家競演会」に出場し、ここでも優れた才能を発揮します。この競演会では、新人賞に加えて、大阪府知事賞、そして大阪市長賞という、権威ある三つの賞を同時に受賞するという快挙を成し遂げました。これらの受賞は、彼の卓越した話芸と将来性を証明するものであり、その後の活躍の大きな弾みとなりました。

結び

六代目笑福亭仁鶴師匠のもとで上方落語を学び、高座を務める一方、教育者として未来を担う若者と向き合い、さらには慰問活動や篤志面接委員として社会に貢献するなど、笑福亭仁昇氏の活動は多岐にわたります。落語家としての確かな実力と、社会に対する真摯な姿勢は、多くの人々に感銘を与えています。吉本興業や上方落語協会の公式ウェブサイトなどでそのプロフィールや活動が紹介されており、多才な噺家として、今後の活躍がますます期待される存在です。

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