笠木伸英

笠木伸英の生涯と業績

笠木伸英（かさぎ のぶひで）は1947年5月8日に北海道で誕生しました。彼は1971年に東京大学工学部舶用機械工学科を卒業し、その後、同大学院で研究を続け、1976年に博士号を取得しました。彼の学位論文では、体積力を伴う乱流境界層の輸送機構についての研究が扱われ、指導教官は平田賢でした。

卒業後、笠木は東京大学に講師として就職し、以来昇進を続けました。1977年には助教授となり、1990年には教授に就任しました。2012年には定年を迎え、東京大学から名誉教授の称号を授与されました。彼の研究は、熱工学や流体力学など多岐にわたり、特に乱流の熱および物質の輸送機構に関する理論的および実験的な成果が評価されました。

研究活動

笠木の研究分野は熱工学だけでなく、エネルギー工学にも広がっています。彼はマイクロガスタービンを中心に、分散エネルギーシステムのエネルギー解析を行い、固体酸化物形燃料電池の電極反応に関する詳細な解析も実施しました。こうした研究成果は、制御システムの開発において理論と実験の両面からの貢献を果たすものとなりました。

学会活動

笠木は日本流体力学会、日本機械学会、日本伝熱学会など、数多くの学会の役員を務め、その中でそれぞれの会の会長も歴任しました。特に1997年から2006年にかけて日本流体力学会の会長を務め、2010年にはAssembly for International Heat Transfer Conferencesの副会長を務めました。2011年からはInternational Centre for Heat and Mass Transferの副会長として、国際的な熱と質量移動の研究の促進に寄与しました。

表彰

彼の業績は多くの表彰によって認められています。1987年、1990年、2008年、2010年には日本機械学会論文賞を受賞し、1993年には日本機械学会熱工学部門賞を受賞しました。また、1994年には米国機械学会のフェローに選ばれ、2003年にはスウェーデン王立科学アカデミーの会員としての資格も得ました。

さらに、2008年には日本機械学会熱工学部門国際功績賞を受賞したほか、2010年にはInternational Centre for Heat and Mass TransferからWilliam Begell Medalを授与されました。2012年には同研究所からFellowship AwardやLuikov Medalを受けるなど、多彩な受賞歴を持っています。最後に、2015年には正四位の位を賜りました。

まとめ

笠木伸英は熱工学の第一人者として、日本のみならず国際的にもその名を知られる存在でした。彼の果たした研究業績や学会活動は、今後の世代にとっても大きな指針となることでしょう。彼の逝去は科学界にとって大きな損失であり、彼の築いた基盤は永続的な影響を与え続けることでしょう。

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