笠松天神社古墳

笠松天神社古墳：本土最西端の前方後円墳

笠松天神社古墳は、長崎県平戸市田平町小手田免に位置する古墳時代前期（4世紀中頃）に築造された前方後円墳です。長崎県の北西部、北松浦半島の先端部に位置する台地上にあり、古墳域には笠松天神社が鎮座しています。この古墳は、日本の本土部において最西端に位置する前方後円墳として知られ、その存在は古代日本の勢力範囲や文化交流を考察する上で重要な意味を持っています。

特徴

墳形: 前方後円墳。前方部が南東方向を向いています。
規模: 墳丘長は約34メートル。後円部の直径は約22メートル、高さは約2.5メートル。前方部の幅は約14メートル、高さは約1.4メートル。
葺石: 墳丘表面には葺石が認められます。
埋葬施設: 後円部中央に埋葬施設があったと考えられますが、盗掘により破壊され、現在は痕跡のみが残っています。1988年の発掘調査では、埋葬施設の残骸と考えられる板石や、少数の土器片が検出されました。

前方部の一部は道路建設によって削平されています。

歴史

1975年（昭和50年）に古墳として初めて認知されました。
1976年（昭和51年）に測量調査が実施されました。
1988年（昭和63年）に発掘調査が行われ、古墳の構造や出土品に関する知見が得られました。
2007年（平成19年）8月31日、長崎県指定史跡に指定され、文化財としての保護が図られています。

意義

笠松天神社古墳は、古墳時代前期の4世紀中頃に築造されたと考えられています。この時期は、ヤマト王権が勢力を拡大し、各地の豪族を服属させていった時代です。前方後円墳は、ヤマト王権を象徴する墓制であり、その影響力が当地まで及んでいたことを示すものと考えられます。

また、長崎県本土部には前方後円墳が7基しか確認されておらず、笠松天神社古墳はその中でも特に重要な古墳の一つです。周辺には同じく前方後円墳である岳崎古墳も存在し、こちらも笠松天神社古墳と同時に長崎県指定史跡に指定されています。これらの古墳群は、当時の地域社会の構造や文化を理解する上で貴重な資料となります。

まとめ

笠松天神社古墳は、長崎県平戸市に所在する、日本の本土部最西端の前方後円墳です。その規模や構造、出土品から、古墳時代前期におけるヤマト王権の影響や、地域社会の独自性を知ることができます。長崎県の指定史跡として、今後も保存・活用が期待される重要な文化遺産です。

関連情報

所在地：長崎県平戸市田平町小手田免
指定：長崎県指定史跡（2007年8月31日）
* 近隣の古墳：岳崎古墳（長崎県指定史跡）

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