第ゼロ感

『第ゼロ感』

『第ゼロ感』は、日本のスリーピースロックバンドである10-FEETによって生み出された楽曲であり、彼らにとって通算22作目となるシングルとして発表されました。この楽曲はCDなどの物理媒体ではなく、配信限定シングルとして2022年11月9日にEMI Recordsよりリリースされています。前作のシングルからは約5か月ぶりとなるリリースとなりましたが、特に注目すべきは、この楽曲が国民的人気を誇る漫画を原作とした大ヒット映画『THE FIRST SLAM DUNK|SLAM_DUNK』のエンディング主題歌として起用された点です。

制作背景と楽曲の特徴

本作の制作過程には、『THE FIRST SLAM DUNK|SLAM_DUNK』の原作者であり、映画では監督および脚本をも手掛けた井上雄彦氏が深く関わっています。10-FEETと井上氏が密接に連携を取りながら、実に2年もの歳月をかけて楽曲が作り上げられました。映画の世界観と物語に寄り添いつつ、音楽として独立した魅力を持つ楽曲を目指した共同作業となりました。また、楽曲が映画の公開よりも先に配信されるという特別な状況を踏まえ、歌詞の内容は映画の具体的な展開や核心に深く触れすぎないよう、聴く側が先入観なく楽しめるよう配慮された上で紡がれています。

リリース後の活動とライブでの披露

楽曲のリリース後、10-FEETは精力的な活動を展開しました。2022年11月12日には、バンドの地元である京都府の京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージにて開催された「10-FEET 25th ANNIVERSARY ONE-MAN TOUR 2022 FINAL in 太陽が丘」と題された単独ライブにおいて、『第ゼロ感』が初めてライブで演奏されました。映画の公開と楽曲のヒットが重なり、この初披露の場は多くのファンの記憶に残る瞬間となりました。

メディアでのパフォーマンス

『第ゼロ感』はその高い注目度から、数々の主要な音楽番組でも披露されています。

2022年12月23日には、テレビ朝日系列の年末大型特番「ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE 2022」に出演し、大きな舞台で本作を演奏しました。
翌年の2023年3月10日にも、同じくテレビ朝日系の「ミュージックステーション」に再び出演しています。
さらに、2023年12月18日放送のTBS系「CDTV ライブ!ライブ!」でもパフォーマンスを披露し、その存在感を示しました。
そして、2023年の大晦日には、第74回NHK紅白歌合戦に初出場を果たし、『第ゼロ感』を演奏。全国的な知名度を一層高めることとなりました。

これらのテレビ出演は、楽曲のヒットをさらに加速させる要因となりました。

チャート成績と記録的なヒット

商業的な側面でも、『第ゼロ感』は目覚ましい成功を収めました。オリコン週間デジタルシングル（単曲）ランキングでは、リリース直後から2週連続で首位を獲得するという快挙を達成しました。この人気はストリーミング配信においても顕著であり、リリースから半年も経たない2023年4月12日時点ですでに累計再生回数が1億回を突破。さらにその勢いは衰えることなく、2024年6月19日には累計再生回数が3億回を超えるという驚異的な記録を打ち立てました。これは、本作が単なるタイアップ曲にとどまらず、多くの人々に繰り返し聴かれる国民的ヒットソングとなったことを示しています。

ミュージックビデオ

楽曲の世界観を表現したミュージックビデオは、2022年12月14日に公開されました。この映像作品には、高度なスキルを持つフリースタイル・バスケットボールのパフォーマーが出演しており、そのダイナミックな動きが楽曲の持つ力強さや疾走感と見事に融合しています。公開以来、YouTubeを中心に多くの視聴者に再生され、2024年12月現在までに累計再生回数は7500万回を突破しています。

楽曲情報

配信限定シングル『第ゼロ感』に収録されている楽曲の詳細は以下の通りです。

タイトル: 第ゼロ感
演奏時間: 4分47秒
作詞・作曲: TAKUMA（10-FEETのボーカル・ギター）
編曲: 10-FEET

楽曲は、バンドの中心メンバーであるTAKUMA氏が作詞作曲を手掛け、バンド全体で編曲を行っています。映画の世界観を反映しつつも、10-FEETらしい骨太なロックサウンドとメッセージ性が融合した楽曲となっています。

受賞

『第ゼロ感』は、音楽業界からも高く評価されました。2023年に開催された「MTV Video Music Awards Japan」では、「Best Rock Video」部門を受賞。これは、ミュージックビデオの芸術性や楽曲の持つロックとしての影響力が認められた証であり、本作が音楽シーンにおいても重要な位置を占める作品であることを示しています。

カバーバージョン

本作は様々な形で広がりを見せており、他のアーティストによるカバーも行われています。特に、株式会社ブシロードが展開するメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!（バンドリ！）』に登場するガールズバンド「RAISE A SUILEN」のメンバーであるレイヤ（CV: Raychell）とチュチュ（CV: 紡木吏佐）によってカバーされたバージョンは、2023年12月27日にスマートフォン向けゲームアプリ『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』内に追加収録されました。これにより、アニメやゲームのファンを含む新たなリスナー層にも楽曲が届けられています。

まとめ

『第ゼロ感』は、映画『THE FIRST SLAM DUNK|SLAM_DUNK』との強力なコラボレーションによって誕生し、リリース後にはオリコンでの連続1位獲得、ストリーミング再生3億回突破という記録的なヒットを飛ばしました。多数のテレビ番組での演奏、MTV VMAJでの受賞、さらには人気コンテンツでのカバーなど、多方面で大きな影響を与えています。この楽曲は、10-FEETというバンドのキャリアにおける新たな頂点を示すと同時に、映画と共に多くの人々の心に深く刻まれた、世代を超えたアンセムとして語り継がれていくでしょう。

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