第三〇二海軍航空隊

第三〇二海軍航空隊について

第三〇二海軍航空隊（だい302かいぐんこうくうたい）は、日本海軍に所属する航空部隊の一つであり、主に太平洋戦争において関東地域の防空を担当しました。この部隊は、通称「厚木航空隊」と呼ばれ、戦争における重要な役割を果たしました。

沿革

1944年

1944年の初頭、日本はマーシャル諸島を失い、敵の機動部隊が近海に迫る危機的な状況に直面していました。これを受けて海軍は本土防空のための航空隊の整備を開始し、これが第三〇二海軍航空隊の設立につながりました。特に302空はこの地域における唯一の防空戦闘機隊として期待され、1944年3月1日には木更津飛行場で正式に開隊されました。最初の配備機は雷電と夜間戦闘機月光で、訓練はそれぞれ追浜と木更津で行われました。

3月14日には初めての雷電3機が第三〇一海軍航空隊から譲渡され、その後、仲々の戦力を整備しました。402空は開隊直後から、敵機に対する迎撃作戦を展開し続けました。特に、沖縄戦直前の6月には南鳥島に敵機動部隊が接近し、302空は初の即時待機を命じられました。

初出撃は7月4日の硫黄島に対する空襲で、302空の夜間戦闘機隊が初めて出撃しました。この頃、敵のB-29による初の空襲もあり、302空は急速に戦力を整備しようとしました。10月には神風特攻隊が始まり、小園安名指令のもとで特攻志願者が募られたことも特徴的でした。11月には関東地域に対する空襲が激化し、302空は全力で迎撃に出動しました。

1945年

1945年1月27日以降、関東全体がB-29による爆撃の標的となりました。302空も迎撃に参加し、撃墜報告を上げましたが、その代償も大きく、3機を喪失しました。更に2月10日には中島飛機の太田製作所が初めて空襲を受け、302空は引き続き防空に奮闘しました。

3月には東京大空襲が発生し、その際も月光が出撃しましたが、夜間の低視界により他の戦闘機は出撃できず、302空は限界を迎えつつありました。また、4月以降は米軍のP-51戦闘機が関東の防空に迫ってくると、302空は野戦の特攻隊としての機能を減少させる決定を下します。

さらに、終戦間際の8月、302空は数度の交戦を経て撃墜報告を行ったものの、戦力は激減していました。終戦を迎えると、小園司令が徹底抗戦を訓示し、基地占拠や連絡飛行の試みが続き、最終的には一部の隊員が脱走し、降伏する事態となりました。

装備と歴代指揮官

302空は零式艦上戦闘機、雷電、月光、彗星、銀河といった多数の機体を装備していました。指揮官には小園安名中佐と山本栄大佐が名を連ね、そのリーダーシップ下で数々の戦闘に臨みました。

終わりに

終戦後、302空はその歴史を刻む中で、厚木空神社が建立されるなど、多くの元隊員がその後の活動に関与しました。「厚木空神社奉賛会」による今なお続く例祭がその証です。このように、第三〇二海軍航空隊は日本の航空戦史において重要な役割を果たし続ける存在であり、戦争の悲劇と共にその名は記憶に留まることでしょう。

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