第三次ハリコフ攻防戦

第三次ハリコフ攻防戦

第三次ハリコフ攻防戦は、1943年の2月19日から3月までの間、ウクライナのハリコフで行われた、ドイツ軍とソ連軍の激しい戦闘です。この戦闘は、ドイツでは「ドネツ戦役」と、ソ連では「ドンバス・ハリコフ作戦」として知られています。戦いは、ドイツ軍によるハリコフとベルゴロドの奪還を伴い、戦局に大きな影響を与えました。

背景

1943年初頭、ソ連軍はスターリングラードでの著名な勝利をもとに攻勢を強化しました。特に、ドイツ第6軍が降伏したことで、ドイツ軍の戦線は不安定になっていました。ソ連軍は新たに計画された作戦を遂行し、ハリコフを奪還しようとしていました。1月29日には「早駆け作戦」が開始され、2月2日は「星作戦」と称される攻撃計画が実行され、ハリコフ攻防戦の土台を築きました。

2月中旬、ドイツ軍の指揮官エーリッヒ・フォン・マンシュタインは、戦局の維持のためにヒトラーと接触し、防御戦を行うよう提言しましたが、ヒトラーはハリコフの死守を命じました。その中でも、マンシュタインは一部の地域で反撃を開始する必要を認識していました。

戦闘の経過

2月19日、ソ連軍はハリコフの制圧を試み、激しい戦闘が始まりました。その中で、ドイツ軍の装甲部隊が後方に展開したソ連軍を攻撃し、戦闘が優位に進展していく過程で、ドイツ軍は再びハリコフを占領する機会を得ました。ヒトラーはザポロジェに移動し、その後の作戦計画を任せました。

3月初旬、ドイツ軍は反撃に成功し、速やかにソ連軍を押し戻すことに成功しました。特に、ドイツ軍の第4装甲軍は、ソ連軍に対して猛烈な攻撃を行い、最終的にはハリコフを再奪還しました。

しかし、春の泥濘期に入ったことで、ドイツ軍の攻勢は一時中断せざるを得なくなりました。これにより、双方の軍にとって新たな戦略が要求される事態となりました。

結果と影響

この戦闘の結果、ソ連軍は深刻な損失を被りましたが、同時にドイツ軍も多くの兵士を失いました。特に、ソ連側の戦死者は65,000人を超え、ドイツ軍にも深刻な影響を及ぼしました。歴史家の中には、この戦闘をドイツにとっての最後の大きな勝利と評価する声もあり、ハリコフの戦いが今後の軍事作戦に向けて両軍に重要な教訓を与えたことが伺えます。

戦略と次の戦争へ

ハリコフ戦の後、ヒトラーは戦略的な選択を迫られることとなりました。1つは後手を取る防衛戦の構築であり、2つ目は先手を打つ攻勢でした。最終的に選ばれたのは、攻勢を取ることであり、次はクルスクの戦いに向けた準備を進めることになりました。

第三次ハリコフ攻防戦は、戦争全体における重要な出来事の一部であり、両軍に多くの影響を及ぼしました。ドイツ軍はこの戦いを経て、より強固な前線を形成し、クルスクの戦いに挑むこととなります。

もう一度検索