第九号駆潜艇

第九号駆潜艇の概要

第九号駆潜艇は、日本海軍が保有していた駆潜艇のひとつで、広くは第四号型駆潜艇の一隻として知られています。特務艇類別等級や艦艇類別等級においては、第一号型[[駆潜艇]]の9番艇に分類されています。本艇は戦後には特別輸送艦に改編され、賠償艦として中華民国に引き渡されています。

構造と建造の経緯

この駆潜艇は、1938年に計画された300トン型の駆潜艇で、仮称艦名は第69号艦でした。1938年5月10日、三菱重工業横浜船渠で建造が始まり、9月20日に第九号駆潜艇と命名されました。その後、10月15日に進水し、1939年5月9日に竣工を迎えました。初めは大湊防備隊に配属され、1940年には本籍が呉鎮守府へと変更されました。

1940年11月15日、艦艇類別等級が改正されたことで艦艇としての地位を得て、第十一駆潜隊に加わりました。この駆潜隊は、第二艦隊の第十一根拠地隊に所属し、1941年4月には第三艦隊第一根拠地隊に編入されました。

戦歴

第九号駆潜艇は、1941年9月まで中国大陸沿岸にて監視や哨戒任務を行い、その後太平洋戦争の緒戦ではマレー半島上陸船団の護衛任務に従事しました。海南島三亜に集結後は、複数の上陸作戦に参加し、その活動の幅を広げました。

1942年に入ると、さまざまな海域での作戦に参加し、複数の上陸部隊の護衛に努め、その後も蘭印作戦やアンダマン諸島の攻略などで活躍しました。特に1945年1月には潜水艦に対する爆雷攻撃を行い、海面には多量の重油が浮き、その後の状況からイギリス潜水艦ポーパスに関連する可能性が示唆されています。

終戦とその後

終戦を迎えた際には、第十一駆潜隊に所属していた他の艇は次々と撃沈され、最終的に本艇だけが残存しました。1945年末、本艇は帝国駆潜艇籍から除かれ、特別輸送艦として新たな任務を託されました。1947年には、中華民国へ引き渡され、艦名が「接31号」と名付けられた後に、再武装され「富陵」と改名されます。1954年には「閩江」と改名され、最終的に1956年に除籍となり解体されました。

艦長と指揮者

第九号駆潜艇には数名の艦長が在任しており、最初の艤装員長は石西壽彦少佐でした。その後、河原政頼、仁科俊郎、小寺藤治、柳田勉、蔵重恒雄らがそれぞれ艦長を務め、戦争の激化によって艦長が戦死する事例もありました。これにより艦の指揮が困難になる状況が続きました。

まとめ

第九号駆潜艇は、その建造と運用の過程において多くの歴史的な出来事に関与し、最終的には軍事的使命を終え、平和的な役割に転じた艦艇です。このような艦艇が歴史の中でどのように機能してきたのかを考えることは、戦争の影響や艦隊運用の実態を理解する上で重要な要素となります。

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