第二次世界大戦下のルーマニア

第二次世界大戦下のルーマニア

第二次世界大戦の開戦により、ルーマニアは国際的に複雑な状況に直面しました。1939年にナチス・ドイツがポーランドに侵攻したことを受けて、ルーマニア王国のカロル2世は中立を宣言しましたが、他国の動きに影響を受けてその立場は徐々に脆弱になっていきました。

1940年には、ナチス・ドイツが北欧やフランス、ベネルクス諸国を次々に制圧したことで、ルーマニア国内でも政治的混乱が広がり、特にファシスト運動の影響が顕著となりました。経済協力を結んだドイツの圧力も強まり、ルーマニアの政治情勢は不安定になりました。特にプロイェシュティ油田の利権を譲渡したことで、国民の間に不満が高まりました。

同年、ソ連はベッサラビアと北ブコヴィナを占領し、ルーマニアの領土が縮小しました。これにより国民の怒りは爆発し、その結果、カロル2世は王位をミハイ1世に譲り、亡命を余儀なくされました。その後、親ドイツ派のイオン・アントネスクが政権を掌握し、ルーマニアは枢軸国側に参加することとなります。

1941年6月にはナチス・ドイツのソ連侵攻にルーマニアも加わり、石油や装備を提供しました。ルーマニア軍は東部戦線においてドイツ軍とともに戦うことになり、様々な戦闘で重要な役割を果たしました。特に、スターリングラード攻防戦にも参加し、国際的にその軍事力が知られるようになりました。

一方、ルーマニア内でのユダヤ人迫害や虐殺も進行しました。約26万人のユダヤ人がナチス・ドイツの手により迫害され、多くが命を失いました。ルーマニア政府の一部は、このような行為に加担し、ホロコーストの一翼を担ってしまったのです。

1943年以降、連合国の反攻が始まり、ルーマニアも爆撃を受けるようになりました。1944年にはソ連軍が侵攻し、国内は混乱の極みに達しました。ルーマニアではミハイ1世がクーデターを起こし、アントネスク政権を打倒。その後ルーマニアは連合国側に立つことを決め、ドイツに宣戦布告します。

戦後のパリ条約では、ルーマニアは連合国の共同参戦国として認められず、賠償金を求められる厳しい立場となりました。しかし、北トランシルヴァニアは再びルーマニア領に戻ることとなり、国内は共産党による支配を受けることになりました。

ルーマニアの第二次世界大戦中の動向は、その後の東欧政治にも大きな影響を与えました。戦後、国際社会における立場やアイデンティティを再構築するための苦悩が続くこととなります。

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