第二次世界大戦中のダブリン空襲

第二次世界大戦中のダブリン空襲

第二次世界大戦中、アイルランドは中立を宣言していましたが、その首都ダブリンは数回にわたりドイツ空軍による空襲を受けました。本稿では、これらの空襲の背景、経緯、そしてその後の影響について詳しく解説します。

空襲の概要

最初の空襲は1941年1月2日に発生し、ダブリン南部のテレニュア地区が爆撃されました。翌日にはサウス・サーキュラー・ロード地区も被害を受け、負傷者が多数出ました。同年5月31日には、ダブリン北部に4発の爆弾が投下され、大統領官邸も一部損傷しました。特にノース・ストランド地区では28名が死亡する甚大な被害が発生しました。

背景

第二次世界大戦の勃発後、アイルランドは中立を維持し、「非常事態」を宣言しました。しかし、1940年以降、ドイツ軍はヨーロッパ各地を占領し、イギリスは単独でドイツと対峙する状況となりました。ドイツ空軍はイギリス各地を爆撃し、北アイルランドのベルファストもその標的となりました。

ドイツによるアイルランド空襲の年表

中立国であるにもかかわらず、アイルランドは複数回の爆撃を経験しました。

1940年8月26日: ウェックスフォード県キャンパイルの酪農工場が爆撃され、3名が死亡。
1940年12月20日: ダン・レアリー近郊のグラススールに爆弾が落下し、3名が負傷。モナハン県カリックマクロス付近でも1名が負傷。
1941年1月1-2日: ミーズ県、カーロウ県、キルデア県、ウィックロー県、ウェックスフォード県、ダブリン県各地に爆弾が投下され、死傷者が出ました。
1941年1月3日: ダブリンが再び空襲を受け、サウス・サーキュラー・ロードのドノア・テラスが被害を受け、20名が負傷。
1941年5月31日: ダブリン北部のノース・ストランド地区が爆撃され、28名が死亡。
1941年6月2日: アークローが爆撃を受ける。
1941年7月24日: ダンドークに爆弾が落下。

各地の被害状況

テレニュア

1941年1月2日、ラスダウン・パークに爆弾が投下され、家屋が破壊されました。また、ラヴァーナ・グローブでも爆弾が落下し、1名が負傷しました。

ドノア・テラス

1941年1月3日、ドノア・テラスの家屋が爆撃され、約50軒が被害を受けました。教会やシナゴーグも損傷し、20名が負傷しました。

ノース・ストランド

1941年5月31日、ノース・ストランド地区に爆弾が投下され、28名が死亡、多数の家屋が破壊されました。この空襲が最も甚大な被害をもたらしました。

戦後の対応

戦後、西ドイツは誤爆の責任を認め、賠償金を支払いました。アイルランド政府は2,000件以上の賠償請求を処理し、最終的な賠償額は344,000ポンドに達しました。

誤爆の原因

誤爆の原因については諸説あります。航 navigation エラーや目標地点の誤認、電子戦の影響などが指摘されています。また、ベルファスト空襲への警告とする説もあります。

ウィンストン・チャーチルは、ドイツ空軍が爆撃機を誘導するために使用していた無線信号に対する妨害が原因である可能性を示唆しました。

まとめ

第二次世界大戦中、アイルランドは中立を維持しましたが、ダブリンはドイツ空軍による空襲を受け、多くの犠牲者を出しました。これらの空襲は、アイルランドの戦時中の中立政策に大きな影響を与え、戦後の賠償問題にも発展しました。

関連項目

第二次世界大戦における電子戦
* 第二次世界大戦中のスイスへの空襲

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