第五輪

第五輪:セミトレーラーとトレーラーヘッドを繋ぐ連結装置



第五輪は、セミトレーラーとトレーラーヘッドを連結するための重要な装置です。その名称は、馬車時代から使われてきた「Fifth wheel coupling」の和訳に由来します。本記事では、日本の第五輪連結装置について、その構造、連結・解結手順、種類、整備方法、そして安全に運用するための注意点などを詳しく解説します。

第五輪の構造



第五輪は、トレーラーヘッド側(牽引車側)のカプラと、セミトレーラー側(被牽引車側)のキングピンから構成されます。キングピンは、通常2インチまたは3.5インチのサイズがありますが、3.5インチはあまり一般的ではありません。トレーラー後部には、「第五輪荷重○○○○kg」といった最大荷重表示ステッカーが貼られており、これはトラックの最大積載量表示に相当します。

連結手順



1. カプラのロック解除: カプラのロック解除レバーを操作し、完全にロックが解除されていることを確認します。メーカーによって操作方法は異なる場合があります。
2. トレーラーとの位置合わせ: トレーラーとトレーラーヘッドの中心線がほぼ一致するように、トレーラーヘッドをゆっくりと後退させます。キングピンプレートは、カプラよりもやや低い位置になるように調整するのが理想的です。ランディングジャッキなどを用いて調整しましょう。
3. 連結確認: 連結後、ごく低速で発進し、連結状態を再度確認します。この時、トレーラー側のブレーキホースが接続されていない場合や、ブレーキエアが不足している場合は、ブレーキがかかるようになっています。パーキング[[ブレーキ]]も確認しましょう。古いトレーラーではパーキング[[ブレーキ]]がワイヤー式の場合があり、エアが完全に無いとブレーキがかからない場合があるので注意が必要です。
4. 各種接続: 連結を確認したら、ブレーキホース、灯火類コネクタ、ABS/EBSコネクタ(装備されている場合)などを接続します。ABS/EBSコネクタは、エンジンを停止しイグニッションをオフにしてから接続しましょう。機種によっては、後方監視カメラやその他の電力ケーブルの接続も必要になる場合があります。

解結手順



1. 安全確保: トレーラーの駐車ブレーキをかけ、安全措置を行います。
2. ランディングギアの接地: トレーラー前部のランディングギア(ランディングジャッキ)を完全に接地させます。
3. カプラからの分離: トレーラー前部(キングピンフレーム)がカプラから浮く手前までランディングギアを上げます。
4. 各種コネクタの切断: ブレーキホース、灯火類コネクタ、後方監視カメラ、各種電力ケーブル、ABS/EBSコネクタ(装備されている場合)を外します。ABS/EBSコネクタは、エンジンを停止してから外しましょう。
5. カプラのロック解除: カプラのロック解除レバーを操作し、ロックを解除します。メーカーによって操作方法は異なります。
6. トレーラーヘッドの前進: トレーラーヘッドをゆっくりと前進させ、トレーラーから完全に分離します。

第五輪の種類と整備



第五輪にはいくつかの種類があり、キングピンを両側から挟み込むタイプや、キングピンを抱え込むタイプなどがあります。いずれのタイプも、キングピンと直接接触する部品は磨耗します。ある程度の調整は可能ですが、構造を理解せずに整備すると事故につながる可能性があります。「調整ネジを締めればガタが減る」といった誤った認識は危険です。構造によっては、ネジを緩めることでガタが減る場合もあります。整備にあたっては、専門知識と適切な手順を踏むことが重要です。

安全上の注意点



連結・解結作業は、安全な場所で、十分な注意を払って行いましょう。
連結前には、必ず連結状態を確認しましょう。
解結時には、ランディングギアを確実に接地させましょう。脚を出さないまま切り離すと、トレーラー前部が落下し、損傷したり、横転したりする危険性があります。
定期的な点検・整備を行いましょう。

関連項目



セミトレーラー
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