第五青函丸

第五青函丸の歴史

第五青函丸（だいごせいかんまる）は、戦時中の日本で建造された鉄道連絡船です。これは、運輸通信省鉄道総局の青函航路において、輸送効率を向上させるために設計されました。特に、太平洋戦争開戦後の船腹不足が深刻化する中、特に北から輸送される石炭の陸運への移行を促進するために建造されました。

建造の背景

第二次世界大戦前、日本の海上輸送は主に内航船によって支えられていましたが、日中戦争の勃発以降、沿岸航路の船腹不足が進行しました。この結果、国内では貨物が陸路への輸送にシフトし始めたのです。青函航路においてもこの影響を受け、貨物輸送量は急激に増加。
1941年には石炭運搬船の不足が深刻化し、鉄道省は新たな車両渡船の早期建造を要請しました。この要請に基づき、第四青函丸を原型にした第五青函丸の建造が始まり、最適化された構造によって工期短縮が図られました。作業には軽量化と使用材料の統一が重視され、戦時の標準船型としてW型が採用されました。これにより、第五青函丸を含む船が連番で建造され、最終的には第十二青函丸まで合計八隻が完成しました。

船体と設計

第五青函丸は、全長113.20メートル、幅15.85メートルの規模を持ちました。設計には、コスト削減と生産効率を考慮した構造が取り入れられ、薄い鋼板の使用や曲線部分の直線化が進められました。また、船体の二重底は廃止され、居住区間の簡易化が図られましたが、この過剰な軽量化は後に問題を引き起こしました。特に船が浮き上がり過ぎ、車両を積み込む際の横傾斜が大きくなりすぎたため、実際の運用に支障をきたしました。

運航と戦時の影響

1944年の就航後、第五青函丸はいくつもの困難な状況に直面しました。特に太平洋戦争中、船舶の損失が続き、青函航路の運航能力が減少。第五青函丸も1945年に機関トラブルを抱えるようになり、運行の安定性が悪化しました。これにより、運航ダイヤに多くの遅れや欠航が生じ、輸送力が逼迫しました。
その後の復旧作業は続きましたが、戦争の終結後もさらなる改善や改良が行われ、デッキハウスを追加するなどの工事が実施されました。これにより、旅客設備が強化され、混乱した時期に対応するための努力が行われたのです。

災害とその後の変化

1944年には洞爺丸台風が襲い、青函連絡船数隻と大きな被害を出しました。第五青函丸はこの台風の影響を受けずその後も運航を続ける一方、他の率いる船舶は損失を被り、その影響は大きなものでした。続いての改修により船体は改良を受け、デッキハウスなどが設けられて客輸送の能力も向上しました。この時期、第五青函丸は青函航路の旅客及び貨物輸送の中継点として重要な機能を果たしました。

引退とその後

経年劣化と運用の厳しさを経て、第五青函丸を含むW型戦時標準船たちは1964年に引退しました。これは新型の客載車両渡船が導入される背景に、青函航路の効率的な輸送が求められたことによります。その後も、W型やH型戦時標準船は各種改造を受けながら新たな用途に転用され反響を呼びました。


このようにして、第五青函丸は、戦時中に日本の物流において重要な役割を果たし、数々の困難を経験しつつ、長きにわたる歴史を持つ船であると言えるでしょう。

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