第六航空船

第六航空船

第六航空船（だい6こうくうせん）は、日本海軍が運用した半硬式軍用飛行船として、その歴史に名を刻んでいます。この飛行船は、イタリアの著名な設計士ウンベルト・ノビレによって設計された「N3」を基にしており、1926年に日本に導入されました。また、この機体はノルゲ号と姉妹船にあたります。日本の新聞メディアでは、当初「N三号」として知れ渡っていました。

概要

日本海軍は、第三航空船の爆発事故と第二航空船の老朽化により、十分な飛行船訓練が難しくなる懸念から新しい機体の購入を決定しました。これを受けて、1925年6月にはイタリアのノビレにN級の半硬式飛行船の発注を行いました。1926年8月28日に横浜に到着したN3は分解された状態で運ばれ、霞ヶ浦で再組立てが行われました。この作業には、ノビレ本人やイタリアから派遣された技術者も参加しており、1927年4月に組み立てが完了しました。
初飛行は同年4月6日に行われ、その後は帝都訪問飛行などの活動を経て、6月20日に「第六航空船」と名付けられました。

機体喪失

しかし、同年10月22日には日本海軍の大演習に参加し、伊豆諸島への夜間偵察を行っていた第六航空船が、帰路に強風に遭遇するという不運に見舞われました。八丈島近海での強風によって、想定以上に燃料を消費し、霞ヶ浦や横須賀への帰還が困難になりました。横須賀鎮守府との連絡を取りながら、神津島上空で天候の回復を待機したものの、雷雲の接近を受けて機体が不安定になり、不時着を決断することになりました。

不時着は、島の東南海岸に試みられましたが、乗組員が飛行船をしっかりと係留しようとしたものの、成功しませんでした。その結果、飛行船は海上に流され、最終的には爆発を引き起こしました。事故の際、乗組員の一人である二等兵曹が崖から落下して負傷しましたが、幸いにも死者は出ませんでした。

設計者のノビレは、機体の喪失後にローマで記者会見を開き、遭遇した悪天候の中で乗員が冷静に行動したことに言及しました。彼は「船長が不時着を命じ、乗組員を救助したのは賢明かつ適切な判断であった」と述べ、不時着の状況は予見できない不可抗力であったと強調しました。

以上のように、第六航空船は短命ながらも、航空史における重要な足跡を残しました。

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