第1回全国中等学校優勝野球大会

第1回全国中等学校優勝野球大会の概要

第1回全国中等学校優勝野球大会は、1915年8月18日から23日まで大阪府豊中市の豊中グラウンドで行われました。この大会は、日本の高校野球の先駆けとして位置付けられています。毎年開催される全国高等学校野球選手権大会の前身でもあるこの大会は、全国から71校が参加し、歴史的な意義を持つものとなりました。

開催の経緯

大会の準備は早くから始まり、1915年7月1日に開催の告知がありました。地方大会で優勝した学校に全国大会への参加資格が与えられることが定められていましたが、大会初日までの日数が限られ、西日本と東日本での大会運営に違いが生じました。特に、大阪朝日新聞社が大会の主催と後援を行う中、東京朝日新聞社はほとんど関与がない状況でした。そのため、各地域での大会の進行はまちまちでした。

東北地方では、対校試合が禁止されていた影響で、秋田県からの参加希望校が予選なしでは認められなかったものの、特例として臨時試合を行うことで全国大会進出の資格を得ました。関東地区でも、東京府の大会が地方大会と見なされる一方で、他府県では大会が開催されない等、全国各地での調整が難航しました。

大会の様子

豊中グラウンドは、1周400メートルのトラックを持ちながら、外野にフェンスがないため、観客席との境界線にはロープが使用されていました。この景観は、いまも当時の雰囲気を伝えています。観客は合計5000人から10000人程度が集まり、試合の盛り上がりを感じさせました。

優勝校と賞品

大会で優勝したチームには優勝旗と銀メダル、さらに参加した選手全員には様々な副賞が贈られましたが、これには後に議論が巻き起こりました。第2回大会からは、粟おこしのみの贈呈となりました。

始球式と試合ルール

大会前のセレモニーでは、朝日新聞社の社長が始球式を行い、その投球が記念すべき第1球とされました。試合のルールは、現代の野球規則に比べ厳格さに欠けており、監督のベンチ入りが認められないなど特有の事情がありました。選手たちはスタンドにいる監督に指示を求めるため往復する様子も見られ、現在の野球における伝令の起源とも言われています。

試合結果

大会はトーナメント方式で進行しました。1回戦から決勝まで、熱戦が繰り広げられ、最終的に京都二中が優勝を果たしました。試合スケジュールは変則的で、当時の野球事情を反映したものとなっています。

特筆すべき出来事

大会の開催から63年後の1978年には、出場者たちがその時の思いを語る企画が行われ、また2015年には第97回全国高等学校野球選手権大会で第1回大会参加校の後続校が記念行進を行い、歴史を振り返る機会となりました。これにより、高校野球の歴史とその後の発展に寄与する大会であったことが再確認されました。

このように第1回全国中等学校優勝野球大会は、今後の高校野球に多大な影響を与えた重要な出来事であり、今日の大会につながる基盤を築きました。

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