第1回20か国・地域首脳会合

世界経済の転換点：第1回G20ワシントン・サミット

2008年、世界を襲った未曽有の世界金融危機。その対応策を協議するため、歴史的なサミットが開催されました。それが、2008年11月14日と15日にアメリカ合衆国ワシントンD.C.で開かれた、第1回20か国・地域首脳会合（G20サミット）です。正式名称は「金融世界経済に関する首脳会合」で、通称「G20ワシントン・サミット」と呼ばれています。

このサミットの開催は、フランス大統領ニコラ・サルコジとイギリス首相ゴードン・ブラウンの働きかけが大きく貢献しました。世界中の経済学者や政治家からは、新たな国際金融秩序の構築、いわば新たな「ブレトン・ウッズ体制」の必要性が強く訴えられており、ヨーロッパのメディアではこのサミットを「ブレトン・ウッズII」と呼ぶこともありました。

それまでG20は財務相・中央銀行総裁レベルでの会合が中心でしたが、世界規模の危機に直面したこの年は、初めて首脳級による会合が開催されることになったのです。

サミットの焦点：世界金融危機への対策

サミットの議長を務めたのは、当時のアメリカ合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュでした。主要議題は、世界金融危機への対策と、同様の危機の再発防止策です。世界経済の混乱を収束させるための緊急対策や、将来的なリスク管理について、各国首脳は活発な議論を展開しました。

参加国とオブザーバー

サミットには、主要7か国（G7）と新興経済国12か国から首脳が出席しました。さらに、欧州連合からは欧州委員会委員長が参加し、国際機関などからも関係者が集まりました。

当時アメリカ合衆国では大統領選挙の真っ只中で、バラク・オバマが当選確実となっていました。しかし、オバマ自身はサミットへの参加を見送ることを表明し、代わりにマデレーン・オルブライトとジム・リーチを代表として派遣しました。

日本の誘致活動と開催地決定

興味深いのは、サミットの開催地決定過程です。2008年、G8議長国であった日本は、当初からG20サミットの開催を強く誘致していました。当時の内閣総理大臣麻生太郎は、成田国際空港周辺での開催を提案していました。麻生首相は、サミットを短時間で効率的に開催できるよう、成田空港周辺を最適な場所だと考えていたようです。しかし、最終的に日本の誘致は不首尾に終わりました。麻生首相は、いくつかの国が日本の案に賛同しなかったためだと説明しています。

その後、アメリカからの要請を受け、日米首脳間の電話会談が行われました。その結果、サミットの開催時期、場所、参加国は全てアメリカ合衆国が決定することで合意に至りました。

サミットの意義と影響

第1回G20ワシントン・サミットは、世界金融危機という未曽有の事態への対応において、歴史的な転換点となりました。このサミット以降、G20は世界経済の主要な意思決定フォーラムとしての役割を担うようになり、国際金融協力の枠組みは大きく変化していきました。サミットにおける合意事項は、後の経済政策や国際協調のあり方に大きな影響を与え、現代の世界経済秩序を形作る上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

今後の展望

このサミットを皮切りに、G20首脳会合は定期的に開催され、世界経済の安定と発展に貢献してきました。ワシントン・サミットは、その歴史の始まりであり、世界経済史における重要な出来事として記憶されています。今後の世界経済の動向を予測し、国際協調を強化していく上で、このサミットから学ぶべき教訓は多いと言えるでしょう。

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