第1次ヴァル・ファジュル作戦とは？意味をやさしく解説

第1次ヴァル・ファジュル作戦

第1次ヴァル・ファジュル作戦は、イラン・イラク戦争中の1983年にイラン軍がイラク・マイサーン県に対して実施した攻勢作戦です。この作戦は、計画された攻勢の初回となり、二つの主要な攻撃時間に分けて行われました。

概要

イラン軍が新たな作戦を立案し、最初に実行に移したのがこの作戦です。約45kmにわたる国境地域での激しい戦闘が展開され、イラン軍は一定の成果を上げるも、その後の反撃に苦しむこととなりました。

攻撃第1波

1983年2月6日の黎明時、イラン軍はイラク領アマーラから出発し、国境地帯への攻撃を開始しました。イラン軍はサファリエ、スブレ、ラジデイエの3つの地点を掌握し、イラク軍に対して大きな損害を与えたと報じられました。この攻撃によって、イラク軍に所属する1個旅団および3個連隊が壊滅的な打撃を受けました。特に、最初の24時間で強い進展を見せたものの、その後の攻撃は停滞し、2月9日に再開を試みるも、イラク軍の逆襲によって2月16日には発起点まで押し戻される結果となりました。

攻撃第2波

続いて4月10日、イラン軍はフーゼスターン州ファッケにて新たな攻勢をかけました。この時、両国の国営放送が攻撃による重大な損害を強調して報道しましたが、実際にはこの攻勢も失敗に終わります。イラン軍の期待に反し、戦況は改善されず、イラク側の防衛がしっかりと機能し続けていました。

大本営発表

この時点で、イランの統合参謀本部とイラク軍の参謀本部は、戦況に関する発表を行う際、自軍の勝利と敵の損害に関する情報だけを流すようになりました。このため、実際の戦闘状況がどうであったのかは隠蔽され、歴史に残る戦争の数々の真実が闇の中に葬られることになったのです。これにより、双方の損害が不明確になり、今後の戦闘に影響を及ぼすこととなります。こうした戦時情報の発信は、過去の日本帝国軍による大本営発表を想起させるものであり、双方の信頼性に影響を及ぼす結果を招いています。

参考文献

- 鳥井順『イランイラク戦争』（第三書館）
- 松井茂『イラン-イラク戦争』（サンデーアート社）
- ケネス・ポラック『ザ・パージアン・パズル上巻』（小学館）

第1次ヴァル・ファジュル作戦