第1空挺師団 (ドイツ連邦陸軍)

第1空挺師団：ドイツ連邦軍における空挺作戦の要

第1空挺師団は、ドイツ連邦陸軍において空輸機動作戦の中核を担った部隊です。敵陣への降下、重要拠点の確保、そして迅速な展開能力を特徴とし、冷戦時代から東西ドイツ統一後のドイツ連邦軍において重要な役割を果たしました。本記事では、その編成、歴史、そして任務について詳しく解説します。

概要

第1空挺師団は、自隊で構成される対戦車歩兵部隊や陸軍航空隊による航空火力支援を受け、空地一体となった空挺作戦を展開しました。あらゆる地形障害を克服し、独立して行動できるよう構成され、その高い空中機動能力は、他の陸軍師団と比較して際立っていました。大規模な輸送能力を確保することで、空中機動能力に起因する脆弱性を補完していました。

主任務は以下の通りです。

軍団直轄の高機動予備部隊としての即応展開
脅威地点における対戦車防御の強化
敵軍の突破点に対する保持
間隙の保持
開放された側面の防護
大規模市街地戦及び森林戦
* 捜索戦闘

平時には各旅団が各軍団の指揮下に入るなど、柔軟な運用が可能な点も特徴でした。

歴史

第1次編制

1955年1月に前身となる第106空挺旅団の編成が開始され、1956年に師団に改編、エスリンゲン・アム・ネッカーに師団司令部を設置し、7月3日に編成を完了しました。当初は、2つの空挺戦闘群（A9、B9）と、通信、装甲偵察、猟兵、砲兵、装甲猟兵、防空部隊などで構成されていました。1958年には北大西洋条約機構（NATO）に組み込まれました。

第2次編制

1959年、陸軍第2次編制により、A9戦闘群とB9戦闘群はそれぞれ第25降下猟兵旅団および第26降下猟兵旅団に改編されました。師団直轄部隊として、降下猟兵大隊、降下砲兵大隊、空挺通信大隊、空挺工兵大隊、空挺防空大隊、陸軍航空隊などが置かれました。1964年には師団司令部がブルッフザールに移転しました。

第3次編制から第4次編制

1970年、陸軍第3次編制において、3個目の旅団となる第27降下猟兵旅団がリップシュタットで編成され、第1軍団の指揮下に入りました。1971年に降下猟兵旅団は空挺旅団に改称されました。陸軍第4次編制では、第25、第26、第27の各空挺旅団に加え、空挺砲兵連隊、空挺通信教導大隊、空挺通信中隊、軍楽隊などが編成されていました。

第5次編制

陸軍第5次編制で1993年に第1軍団の直轄部隊として指揮下にあった第27空挺旅団は第31装甲擲弾兵旅団と合併し第31空挺旅団となりました。1994年に師団は解散し、第4装甲擲弾兵師団と合併され、司令部をレーゲンスブルクに置き新たにコマンドー空中機動部隊 / 第4師団となりました。その後、隷下部隊の再編・解隊が進み、一部は特殊作戦師団に引き継がれました。

解散とその後

第1空挺師団は1994年に解散し、その一部はコマンドー空中機動部隊 / 第4師団、そして特殊作戦師団へと引き継がれました。しかし、その空挺作戦のノウハウと精神は、ドイツ連邦軍における空挺部隊に脈々と受け継がれています。第1空挺師団は、その短い歴史の中で、ドイツ連邦軍の機動力を飛躍的に向上させ、冷戦後の新たな脅威に対応するための基盤を築いたと言えるでしょう。

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