第11族元素

第11族元素について

第11族元素は、IUPAC形式の周期表において、銅（Cu）、銀（Ag）、金（Au）、そしてレントゲニウム（Rg）の4つの元素を含む群です。この元素群は、通常「銅族元素」または「貨幣金属」とも呼ばれ、金属としての特性が際立っています。これらの元素は、原子核の電子配置において、価電子と内殻が（f14）d10s1という特異な構造を持ち、これは彼らの化学的性質や物理的性質に強く影響します。

特性と化学的性質

第11族元素は、すべて+1価のイオンを形成する傾向がありますが、その形成メカニズムには独特の要因があります。これらの元素はd軌道の電子がs軌道よりも広がった配置を持ち、その結果、s電子に対する核電荷の有効遮蔽が弱くなります。この特性が、彼らを原子核に強く束縛し、金属イオンの半径を小さく保つ理由となっています。例えば、Cu+のイオン半径は60pmであり、Na+（113pm）やK+（152pm）と比較すると、かなり小さいことがわかります。また、第一イオン化エネルギーも高く、銅では745.5 kJ/molに達します。

これにより、第11族元素の金属結合にはs電子だけでなく、d電子も関与しており、融点や昇華エンタルピーが第一族元素と比べて高くなります。これらの特性は、強い金属格子エネルギーを生み出し、腐食に対しての耐性を高めています。さらに、電気分解の際には陽極に析出しやすいため、ビジネスや工業での利用が進んでいます。

存在量と天然の出現

第11族元素の自然界での存在量は、銅が約0.007%、銀が約0.00002%、金が約0.0000005%と示されており、これは岩石圏における比率を反映しています。特に金は、ほとんど単体で自然に存在し、銀は金とは似た特性を持ちながらも、銅とは異なる性質があることが知られています。実際、金の金属半径は、ランタニウム収縮の影響で銀とほとんど変わらない現象が観察されています。

イオンの安定性と塩の性質

第11族元素のイオンは、一般に+1、+2、+3の価を取りうるとされています。銅と銀は+2価の状態が比較的安定している一方、金は+2価の状態をあまり取らず、+3価がより安定したイオンとして知られています。しかし、すべてのイオンはその小さなイオン半径と大きな格子エンタルピーのため、水和による安定化が少ないため、イオン化した状態でのいくつかの塩は水に対して溶けにくい性質があります。特に、錯塩を除けばAg(+1)の塩のみが比較的水溶性が高いことが特徴です。

工業的利用

特定の錯塩の形成により、第11族元素のイオンと無機シアンイオン（CN−）との相互作用は、工業的な解決策に役立っています。このような錯体は水に対する溶解性が高く、新たな利用法を提案しています。例えば、精錬やメッキ産業では、これらの性質を利用してシアノ錯体が広く使用されています。また、アンモニアやアミンといった他の化合物とも錯体を形成し、その応用範囲の広さが証明されています。

これらの特徴により、第11族元素は化学および工業的領域において非常に重要な位置を占めています。

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