第11期順位戦

第11期順位戦と第16期名人戦

第11期順位戦は、1956年度から1957年度にかけて実施された、プロ将棋棋士の年間リーグ戦です。この棋戦は、将棋界で最も歴史と権威あるタイトルである名人位への挑戦者を決めるための予選を兼ねており、各クラスでの熾烈な昇級・降級争いが展開されました。順位戦の結果に基づいて、その年度の名人戦七番勝負の挑戦者が決定されます。本項目では、この第11期順位戦の概要と、それに続く第16期名人戦について解説します。

第16期名人戦七番勝負

第11期順位戦の最高峰であるA級リーグを勝ち抜き、名人挑戦権を獲得したのは、当時二冠を保持していた升田幸三でした。対する名人位保持者は、当時の将棋界を牽引していた大山康晴です。両雄による第16期名人戦七番勝負は、大きな注目を集める中で行われ、熱戦の末、挑戦者の升田幸三が4勝2敗で大山名人を下し、見事に名人位を奪取しました。この結果、名人位は大山から升田へと移り、将棋界に新たな時代が到来したことを印象づけました。

第11期順位戦のクラス構成と昇降級

順位戦は、棋士を実力や実績に応じて階級分けし、年間を通じて行われるリーグ戦の成績によって翌年度のクラスが決まるシステムです。A級を筆頭に、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組とクラスが下がるにつれて参加人数が増加します。A級のリーグ優勝者だけが、名人への挑戦権を得ることができます。第11期順位戦における各クラスの昇級・降級条件は以下の通りでした。

A級: 順位戦の最高クラス。リーグ戦で1位となった棋士1名が、その年度の名人挑戦者となります。一方で、リーグ下位の2名はB級1組へ降級となります。

B級1組: A級のすぐ下のクラス。ここで上位2名に入った棋士は、翌年度A級への昇級を果たします。下位の3名はB級2組へ降級となります。

B級2組: B級1組の下のクラス。上位2名が翌年度B級1組へ昇級となります。下位1名はC級1組へ降級となります。

C級1組: C級2組の上のクラス。上位2名が翌年度B級2組へ昇級します。下位1名はC級2組へ降級となります。

* C級2組: 順位戦の最下位クラスです。この第11期においては、参加棋士の増加に対応するため、リーグ戦を関東と関西の二つのブロックに分けて実施するという特別な形式が採用されました。昇級枠は合計3名で、関東リーグの1位と関西リーグの1位が自動的に昇級。残りの1枠を巡り、関東・関西それぞれのリーグで2位となった棋士同士が東西決戦を行い、その勝者1名が3人目の昇級者となりました。降級枠は合計4名で、関東・関西の各リーグで下位2名となった棋士が、順位戦のリストから外れる予備クラスへと降級するという厳しいものでした。特にC級2組の昇級をかけた東西2位決定戦は注目を集め、関東2位の佐藤庄平四段と関西2位の市川伸四段が対戦する予定でしたが、市川四段の不戦勝となり、市川四段がC級1組への昇級を決めました。

このように、第11期順位戦は各クラスで激しい昇降級争いが展開され、その年の将棋界の序列を決定づけました。そしてその最高の結果として、升田幸三が大山康晴から名人位を奪取するという、歴史的な瞬間が訪れた期として、将棋史にその名を刻んでいます。

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