第11空軍 (アメリカ軍)

第11空軍について

第11空軍（Eleventh Air Force、11AF）は、アメリカ空軍内の航空軍の一つであり、太平洋空軍の支下に位置します。本部はアラスカ州エルメンドルフ空軍基地にあり、ここでは中将が司令官を務めています。また、司令官はアラスカ軍の司令官も兼任しています。

概要

アラスカ州はアメリカ北方軍の管轄区域ですが、実際にはアメリカ太平洋軍の下で統合部隊アラスカ軍（Alaskan Command、ALCOM）が展開しています。第11空軍は部隊管理において太平洋空軍の指示を受けるとともに、通常は太平洋軍およびアラスカ軍の操作指揮に従います。また、災害救援や国内防衛においては、アメリカ北方軍アラスカ統合任務部隊の指導の下で活動し、文民機関と連携して任務を遂行します。2023年現在、この航空軍は2個航空団を主要戦力としており、必要に応じてアラスカ州の空軍州兵からの2個航空団の支援を受けています。

部隊構成

• - 第3航空団：エルメンドルフ空軍基地に設置されており、戦闘機、輸送機、早期警戒機を含む5個飛行隊から構成される混成航空団です。
• - 第354戦闘航空団：アイルソン空軍基地を拠点とし、F-16戦闘機を運用しています。
• - 第611航空作戦センター（611th Air and Space Operations Center）：航空作戦の支援を行う機関で、エルメンドルフ空軍基地に所在します。
• - 第611航空支援群（611th Air Support Group）：同じくエルメンドルフ空軍基地にて機材の整備をサポートしています。
• - ミサイル防衛小隊：ミサイル防衛に特化した部隊となっています。

歴史

アラスカにおける航空力の展開は1940年の半ばから始まりました。1941年5月、アラスカ防衛軍団が航空部隊の設立を発表した際に、航空部隊はその後の数ヶ月で改称を経て、1942年1月にはアラスカ空軍が実働を開始しました。その後、同年2月に第11空軍へと改名され、太平洋戦争中は日本軍に対する戦闘にも活動を展開しました。

戦局が進む中で、1943年にはアッツ島から千島列島に向けて爆撃機が出撃するも、目的の目標には達せず、1945年8月の日本の降伏まで偵察や空襲、輸送艦への攻撃を継続しました。1945年にはアラスカ航空軍団に改編され、軍団としての地位を確立しました。

冷戦期間中は、ソ連に非常に近い地理的条件から防空および早期警戒を主な任務としていました。最盛期には6個の飛行隊を保有し、200機以上の戦闘機を配置していました。しかし、冷戦の終結に伴い、兵力は徐々に縮小され、1990年8月には太平洋空軍の傘下で第11空軍の名で再編成されました。

このように第11空軍は、アラスカという戦略的な位置を活かしながら、国防や災害対応に多面的に貢献してきました。

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