第14回全国中等学校優勝野球大会

1928年（昭和3年）の夏、日本の高等学校野球において重要な節目となる大会が開催されました。第14回全国中等学校優勝野球大会は、8月12日から22日までの期間、兵庫県武庫郡鳴尾村（現在の西宮市）にある甲子園大運動場で行われました。

大会の主な特徴

この大会は、いくつかの面でその後の高校野球に影響を与える新しい試みが導入されたことで特筆されます。まず、出場する1チームあたりの選手登録人数が、この大会から14人に定められました。これは、選手の体力温存や戦略の多様化といった面で、その後のチーム編成や試合運びに影響を与えたと考えられます。

また、この第14回大会は、ラジオによる実況中継が初めて全国に展開された大会としても知られています。これにより、球場に足を運ぶことが難しい遠方のファンも、ラジオを通じて試合の熱気を感じ取ることができるようになりました。ラジオ放送の開始に合わせて、主催者側は野球盤を使った「プレヨグラフ」や、電信・電話を活用した速報体制も強化しました。これらの取り組みは、全国各地の野球ファンに、より早く、より詳しく大会の情報を届けるための工夫でした。

試合経過

全国から集まった代表校による戦いは、1回戦から緊迫した展開となりました。特に、甲陽中対大連商の試合や、京城中対敦賀商の試合は、両者譲らず延長11回までもつれ込む激戦となりました。早稲田実や広陵中といった注目校も初戦に臨み、それぞれ鹿児島商、松本商と対戦しました。

2回戦に進むと、強豪校がその実力を発揮し始めます。和歌山中は佐賀中に対して12対0と圧倒的な勝利を収めました。一方、北海中対豊中中、甲陽中対京城中といった試合は、再び延長戦に突入する接戦となりました。台北工が前橋中を破るなど、各地の代表校が持ち味を発揮しました。

準々決勝では、さらにレベルの高い戦いが展開されました。北海中が台北工を、高松中が和歌山中を、松本商が愛知商をそれぞれ退け、準決勝へと駒を進めました。この準々決勝で、それまで接戦を勝ち上がってきた甲陽中は平安中と対戦しましたが、惜しくも敗れました。

準決勝は、松本商対高松中、平安中対北海中の顔合わせとなりました。松本商対高松中の試合は、松本商がリードした状況で降雨コールドゲームとなり、松本商が決勝進出を決めました。もう一方の準決勝では、平安中が北海中を破り、決勝へと進みました。

大会を彩ったホームラン

この大会では、合計11本のホームランが記録され、試合に大きな見どころを加えました。1回戦では、大連商の松島選手が大会第1号ホームランを放ち、京城中の鈴木選手がそれに続きました。2回戦では、和歌山中から山下選手、小川選手、土井選手と3本のホームランが飛び出し、チームの得点源となりました。その他にも、台北工の大野選手、斎藤選手、甲陽中の塩見選手、平安中の内牧選手が2回戦でホームランを記録しています。準々決勝でもホームランは飛び出し、和歌山中の土井選手は大会2本目となるホームランを放ち、平安中の西村選手も準々決勝でホームランを打っています。これらのホームランは、当時の球児たちの力強さを示すとともに、試合の行方を左右する要素となりました。

この他にも、多くの記録や、後に野球界で名を馳せる選手たちが出場していましたが、提供されている情報には限りがあります。第14回全国中等学校優勝野球大会は、選手枠の規定やラジオ中継の全国展開など、その後の高校野球の歴史に大きな影響を与えた、記念すべき大会の一つと言えるでしょう。

もう一度検索