第14回都市対抗野球大会

第14回都市対抗野球大会

昭和15年（1940年）8月5日から同月12日までの8日間、東京の後楽園球場において、第14回都市対抗野球大会が開催されました。

この年の大会には、前年と同様に全国から選抜された16チームが参加し、頂点を目指して全15試合が戦われました。例年通りの賑わいを見せる一方で、大会には当時の世相が色濃く反映されていました。多くの常連チームが出場しましたが、時局柄、主力選手が兵役に就いており、満足のいく戦力を整えられないチームが少なくありませんでした。特にベテランや中堅選手がチームを離れるケースが多く、各チームの戦力低下は否めない状況でした。

大会は波乱の幕開けとなりました。中でも、前回、前々回と大会2連覇を達成し、今大会も優勝候補の一角と見られていた藤倉電線が、初戦である1回戦でまさかの敗退を喫し、大会序盤に大きな衝撃を与えました。このような混戦模様の中、勝ち進んだチームの中で、最終的に黒獅子旗を手にしたのは「全京城」チームでした。

全京城は、本来出場を予定していた京城府庁野球チームが、当時の政府からの命令により関東地方への移動を禁じられたため、急遽、京城府内の有力選手たちを集めて結成された、いわば京城府のオールスターチームでした。イレギュラーな形で結成されたチームではありましたが、選手たちは結束し、並み居る強豪を打ち破って勝ち進みました。そして、大会史上14回目の開催にして、京城のチームとして初の優勝、全京城としてはもちろん初優勝という快挙を成し遂げました。

決勝戦は8月12日に行われました。対戦相手は、もう一方の準決勝を勝ち上がった大連実業団でした。熱戦の末、全京城が勝利を収めました。この試合では、全京城の野村清投手が勝利投手となり、大連実業団の田部投手が敗戦投手となりました。

大会後には、個人表彰が行われました。最も活躍した選手に贈られる橋戸賞には、全京城の優勝に大きく貢献した野村清投手が選ばれました。また、殊勲賞には、決勝までチームを導いた大連実業団の近藤金光投手が選出されました。

第14回大会は、兵役による主力選手不在が各チームに影響を与え、大会連覇チームが早期に姿を消すなど波乱がありましたが、困難な状況下で結成された全京城が初の栄冠を手にした、歴史的な大会となりました。

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