第17期棋聖戦 (将棋)

第17期棋聖戦は、日本の将棋界における主要タイトルの一つである棋聖戦の1970年度後期シリーズとして、1970年5月28日から翌1971年1月12日にかけて開催されました。棋聖戦は、年間で前期と後期の二期制で行われていた時期があり、この第17期はその後期にあたります。権威あるタイトルを巡って、数多くのトップ棋士たちがしのぎを削る舞台となりました。

棋聖戦の挑戦者決定プロセスは、非常に厳格なトーナメント方式で行われます。まず、多くのプロ棋士が参加する一次予選が実施され、ここでは複数の組に分かれて対局が行われました。第17期においては、一次予選は1組から4組までの計4つのブロックで行われ、各組の突破者が次のステージへと進みます。

一次予選を勝ち上がった棋士たちは、二次予選に進みます。二次予選は一次予選よりも参加者が絞られ、さらにレベルの高い戦いが展開されます。第17期棋聖戦の二次予選は、1組から8組までの計8つのブロックに分かれて行われました。ここでも熾烈なトーナメントが繰り広げられ、勝ち抜いた者だけが本戦への出場権を獲得します。

そして、二次予選を突破した棋士に、前期の本戦成績優秀者やタイトル保持者などが加わり、いよいよ本戦トーナメントが行われます。本戦は、棋聖位への挑戦権をかけた最終関門であり、文字通り将棋界のトップクラスが集まる舞台です。この本戦トーナメントを勝ち抜き、第17期棋聖戦の挑戦者となったのが、当時すでに十段タイトルを保持し、新進気鋭の実力者として注目を集めていた中原誠棋士でした。

一方、この時期の棋聖位保持者は、将棋界の絶対的な王者として君臨していた大山康晴棋聖でした。大山棋聖は、数多くのタイトルを獲得し、永世名人資格も持つなど、その実績は比類なきものでした。中原十段と大山棋聖の対決は、まさに時代の潮流を象徴する一戦として、将棋ファンのみならず多くの人々の関心を集めました。

第17期棋聖戦五番勝負は、大山康晴棋聖に中原誠十段が挑む形で行われました。注目の第1局から、挑戦者の中原十段が積極的な指し回しを見せ、見事に勝利を収めます。この一局で勢いに乗った中原十段は、続く第2局、第3局でも内容のある将棋を展開し、連勝を飾りました。結果は、なんと3勝0敗というストレートスコア。中原十段が一度も大山棋聖に勝ち星を与えず、五番勝負を制しました。

この劇的な勝利により、中原誠十段は若干23歳にして棋聖位を獲得し、初の棋聖となりました。従来のタイトル序列に風穴を開け、新時代の到来を強く印象づける出来事でした。この一戦は、中原誠という偉大な棋士のキャリアにおいて重要なマイルストーンとなり、その後の将棋界の勢力図にも少なからず影響を与えました。

第17期棋聖戦は、予選から本戦、そしてタイトルをかけた五番勝負に至るまで、多くの棋士の熱戦が積み重なって生まれた歴史的なシリーズです。特に、中原誠新棋聖の誕生という結末は、今も将棋史において語り継がれる出来事の一つとなっています。この時期の将棋界の躍動感を示す象徴的な棋戦と言えるでしょう。

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