第17期順位戦

第17期順位戦および第22期名人戦

将棋界において、最も権威あるタイトルとされる名人位への挑戦権は、厳格な予選棋戦である順位戦を勝ち抜いた者にのみ与えられます。第17期順位戦は、1963年度（具体的には1962年6月から1963年3月にかけて）に開催された、この重要な予選リーグを指します。本稿では、この時期の順位戦の概要に加え、それを受けて行われた第22期名人戦についても詳細を記述します。

順位戦の構造と第17期の規定

順位戦は、プロ棋士がA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組という五つのクラスに分かれて年間を通してリーグ戦を行う形式をとっています。このシステムの特徴は、成績に応じて次期の所属クラスが変動する昇級・降級制度が採用されている点です。上位クラスに昇級することで、より高みを目指し、最終的には名人挑戦への道が開かれる一方、降級すればその道のりは険しくなります。第17期順位戦における各クラスの昇降級規定は以下の通りでした。

A級: 最高クラスであるA級からは、1名が名人への挑戦権を獲得します。また、成績下位の3名がB級1組へ降級となります。
B級1組: B級1組からは、上位2名がA級へ昇級します。一方、成績下位の3名がB級2組へ降級となります。
B級2組: B級2組からは、上位2名がB級1組へ昇級します。ここでは降級点が設けられており、規定により降級点がついた棋士は翌期以降の成績次第でC級1組へ降級となる可能性があります。
C級1組: C級1組からは、上位2名がB級2組へ昇級します。こちらも降級点制度が採用されており、規定を満たした場合に降級点がつき、累積するとC級2組へ降級する可能性があります。
* C級2組: 最下位クラスであるC級2組からは、上位2名がC級1組へ昇級します。このクラスでは、規定により降級点がついた棋士は、原則として引退となります。第17期では、2名に対して降級点が適用されました。

このように、第17期順位戦もまた、各クラスで棋士たちが激しい昇級・降級争いを繰り広げた一年となりました。順位戦を勝ち抜くことは、名人挑戦権を得るためだけでなく、棋士としての地位を維持向上させる上でも極めて重要です。

第22期名人戦七番勝負

第17期順位戦のA級を勝ち抜き、名人挑戦権を獲得した棋士は、当時の名人位保持者との間で第22期名人戦七番勝負を戦います。この第22期名人戦七番勝負では、当時の名人であった大山康晴と、第17期順位戦A級を制して挑戦者となった升田幸三九段が相見えることとなりました。両者はそれまでにも数々の名勝負を繰り広げており、この七番勝負も将棋界の注目を集めました。

結果は、大山康晴名人が升田幸三九段を相手に4勝1敗でシリーズを制し、見事名人位の防衛に成功しました。これにより、大山名人はその揺るぎない実力を再び証明し、将棋界の第一人者としての地位を確固たるものとしました。一方の升田九段は、名人奪取は叶いませんでしたが、その将棋は多くのファンを魅了しました。

第17期順位戦とそれに続く第22期名人戦は、当時の将棋界における重要な出来事であり、棋士たちの熱き戦いの歴史の一ページを飾るものと言えるでしょう。順位戦を通じて挑戦権を目指し、名人戦という最高の舞台で激突する構図は、現在に至るまで将棋界の根幹をなしています。

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